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パリで朝隈俊男&和香展を開く その3

江口香織さんの場合は、作品を見る前にクリエーター本人に会って、彼女の話から、創作世界のイメージをつかんだ(なんて言うと、ちょっとかっこいい)。
一方、朝隈俊男さんの場合は、最初に作品を見た。それからインターネットで、朝隈さんのインタビュー記事を検索してみるも、見つからず、後は彼の中学時代からの友人で作品の大ファンというみのりさんの話(メール)から、その人物像を(勝手に)イメージする。人との交流をあまり好まず、田舎のアトリエに籠って、もくもくと創作にはげむ仙人タイプのアーティスト。みのりさんによると、朝隈さんは物静かで、授業中、先生の似顔絵を描いたりして、後でそれをクラスメイトが発見して、「すげー、似てる!」なんて騒いでも、黙ってにこにこしているタイプだったとか。パリ展示会も、本人が望んでいるというよりも、みのりさんがさかんにプッシュしている様子だ。そもそも、朝隈さん本人は40歳過ぎで、日本を一度も出たことがないという・・。そうとうな偏屈??しかし、剣道をやっていたというし、結婚もされているし(まあ剣道やっていて、結婚していても偏屈な人間はいるが)、何よりみのりさんの友人だし、そもそもアーティストは変わり者が多いから・・。

と、朝隈さんにコンタクトもとらずに、朝隈俊男パリ展示会の計画を進める。朝隈作品の中で、お茶を飲んだり、歯を磨いたりしている犬たちは、家の中、江口作品のかけじくの前に置こう。しかし、彼の作品にはライオンやパンダとか、草原、山の中にいてほしい動物たちもいる。それで、11月の展示会で知り合った、桐ダンス会社の経営者の友人がジオラマ作家だった、というのを思い出し、展示はかけじくや暖簾を背景にした家の中ヴァージョンとジオラマを背景にしたお外ヴァージョンの2つに分けたら、面白いかも、とさっそく桐ダンス屋さんからジオラマ作家に頼んでもらうも、こちらはあっさりノーの返事が来た。ただ、後から知ったのだが、ジャパン・エキスポのクリエーター部門は1ブースに共同展示できるのはアーティスト二人まで、という規定があったのだ。そんなこと、前もって調べておけよ、と言われそうだが。とりあえず、断られて、幸いだったのである。

いよいよ、朝隈さんにメールを書く。ぜひ、パリで朝隈さんの展示会を開きたい。自分は手弁当でいっさいコーディネート料はもらわない。ただ、展示会参加料、旅費、滞在費はすべて自己負担し、作品は持参してほしい、という内容。朝隈さんのようなすでに固定ファンもついているアーティストにこういう提案は失礼なんだろうか?と思いつつ。

メールの返事を待っている時に、ちょうどみのりさんから、剣道指導者資格取得の講習会のためにパリに来る、と連絡があった。講習会の最終日、夜行列車に乗るまでのわずかな時間、発着駅であるオーステルリッツ駅で、みのりさんと会うことに。たまたま、その時日本から遊びに来ていた私の友人も、その日、朝から一緒に買い物なんぞしていた流れで、3人で夕ご飯を食べる。
みのりさんは、自分が展示会費を出してもいい、とまで言い、どうやら同窓会仲間で、朝隈さんのフランス行き航空券を買うためのカンパをするという話も出ている、という。いいなぁ、この手作り感。

みのりさんと分かれて、家に戻ると、朝隈さんから「前向きに検討したい」という返事があり、「やった~!」と小躍りする。
 その後、朝隈さんのエージェント、というか作品商品化に携わる会社が、展示会費用から、旅費、滞在費まで出すことが決まる。手作り感は薄くなってしまったが(わたしゃ、相変わらず手弁当)、朝隈さんにとってはありがたい話だろうし、とにかく展示会開催がほぼ確実になったのである。
 同じ時期に、パリの展示会コーディネートの仕事を依頼され、いよいよ、アート・イベント・プロデューサーとしての道を進むのだ、なんていい気分になっていた。
 
 朝隈さんがパリに来る前に、日本に行き、アトリエを訪問し、本人はもちろん、作品の動物君たちにもちゃんと会ってこよう。それから、10年3月に休刊したフリーペーパー・ビズの復活版特別号を出して、そこに、インタビュー記事も載せ、宣伝しよう、と思い立つ。
4月の復活祭の学校休暇に合わせて、夫と子どもと一緒に日本に行くつもりだったので、休暇より1週間早く私が一人で帰国して、朝隈さんに会ったり、他の仕事を済ませて、その後、夫が子どもと来日して、1週間一緒に過ごす。それから夫は大津にいる剣道の先生のところに修業に行き、私は3日ほど、通訳と自分の稽古もかねて、一緒に先生の元に通い、その後、息子と二人で、友人、親戚に会いに行き、学校が始まる前に二人でフランスに戻る。夫は剣道修業を続け、4月末に京都で行われる剣道六段の昇段試験に臨む、というスケジュールを組んだ。
2月の半ばに日本行き航空券を予約し、2月27日は、私が剣道二段の昇段試験に(奇跡的に)合格し、今年はいい年になりそうだ、と思っていた矢先に、東北大震災が起きたのである。

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先週、オペラ界隈、日本文化会館等で配ったフリー・ペーパー、ビズ・ジャポン。ジャパン・エキスポ会場でも配布予定 
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パリで朝隈俊男&和香展を開く その2

 東京在住で、本職は公務員、アマチュアの和小物クリエーターだった江口香織さんから、去年の6月に、「仕事を辞めて、創作活動に専念する」とのメールをもらい、江口ブランド・フランス進出(後にブランド名が“和香”に)のお手伝いをすることになる。
ビズ・ジャポンのアーティスト会員として登録をしてもらい(有料です、念のため)、まずは、アーティスト・ページに日仏語のプロフィールと作品写真を掲載する。作品に関しては、江口さんは書道の方もかなりの腕前なので、「書を取り入れたインテリア小物、ミニ掛け軸なんてどうかしら?」と提案する。日本文化に興味があるフランス人宅に行くと、浮世絵(もちろんコピー)や能面が壁にかかっていたり、扇子が棚に飾ってあったりするが、それが洋の(つまりフランスの)インテリアに調和するように工夫がされていて、感心することが多い。本物の掛け軸となると、本格的に和のインテリアにこだわった部屋じゃないと合わないだろうが、ミニ掛け軸なら、棚に小さな“和”コーナーを設け、ミニ掛け軸の前に、お香立て(日本のお香も流行っているので)、なんてセッティングもありだ。江口さんはさっそく、器用にミニ掛け軸を仕上げて、写真を送ってくれた。私って、アート・プロデューサー?となんだか楽しくなってきた。

江口さんのパリ・デビューを11月にオペラで行われる、日本をテーマにした展示会IDEE JAPONに決める。江口さんは、ミニ掛け軸をはじめ、和柄の小銭入れ、コースターから、ギャルソン・エプロン、のれんなど、出品する作品の制作にとりかかり、私はビズのサイト、メルマガなどを使った宣伝活動の準備を開始する。と、同時に、パリで江口さんの作品を置いてもらうセレクトショップも探し始める。

一方の朝隈さんであるが、ベンチに寝そべるバセット・ハウンドくんを見た夫が、「お、これいいな、面白いな」と妙に気に入る。夫は、美術館などにも行ったためしがない、アートなんぞには興味のない人である。以前、アンダルシアに車で旅行した時に、マドリードに一泊したので、せっかくのチャンスだから、ピカソの『ゲルニカ』を見に行かなきゃ!と言ったら、「そんなものを見るためにスペインに来たわけじゃない」と怒ったので、大喧嘩になり、結局、夫とまだ1歳だった息子をホテルに残し、一人で見に行ったのだ(マラガのピカソ美術館も同様)。
朝隈作品は、アートに興味がない人も惹きつける?そもそも動物像なので、親しみやすさがある。ただ、朝隈作品は単なる癒し系ではなく、ちょっとシニカルなところがあり、そこが魅力だ。フランス人は恐ろしくシニカルな人たちである・・、って、ことは朝隈作品と波長が合うのでは、と再び、パリで朝隈作品展を開く、という妄想(当時は)にとり付かれる。さらに、バセットくんと一緒にいただいた、座布団に座ってお茶を飲むラブラドールくんを見て、この後ろに江口さんのミニ掛け軸、ぴったりかも!と、次第に、朝隈&江口展のイメージが出来上がってくる。

ミニ掛け軸と犬

2010年11月に行われた展示販売会IDEE JAPONに、江口さんは作品を持参し、横浜日仏学院で勉強中というフランス語を使って、自らフランス人の客たちとコミュニケーションし、自作品に対する彼らの反応をしっかりチェックする。同時に、作品を買ってくれたイケメンフランス人と一緒に写真を撮るなど、楽しんでいる様子も。この楽しく仕事をする、ということが実は大切なのだ。その後、ビズの特集ページにIDEE JAPONのレポート記事をUPし、二人のイケメンに囲まれた幸せそうな江口さんの写真も掲載した。もちろん、「だんな様が嫉妬しないでしょうか?」と確認をしてから。
その後、マレ地区にある和雑貨の店で江口作品の委託販売契約を結び、また、フランスの非営利団体主催の家族向けクリスマス・パーティで、スタンドを設けて、小物類を販売したり、と、地道ながらもフランス進出作戦を進めていく。

IDEE JAPONに出展していた、パリ在住の日本人クリエーターの女性から、ジャパン・エキスポには、若手クリエーター部門があって、企業向けコーナーに比べると安めの値段でブースが借りられる、という話を聞く。ジャパン・エキスポとは、毎年7月にシャルル・ドゴール空港近くの大きな見本市会場で開かれる、日本をテーマにした展示即売会&イベンで、2010年は4日間で17万人の入場者数を超えた。
ジャパン・エキスポのブースで朝隈&江口作品を展示する、というアイデアが浮かび、江口さんに朝隈作品の写真を見せたところ、「やりましょう!」と即答してもらう。

 せっかく朝隈さんにパリまで来てもらうなら(と勝手に来てくれるものと決めつけていた)、ジャパン・エキスポ+パリのギャラリーで個展という企画にしよう、と手頃な値段で展示会を開くことのできるアート・ギャラリーを探し始める。
 朝隈さんを説得するためには、魅力ある展示会企画書を準備しなければならないのだ。

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プロフィール

江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター・コーディネーター。
96年に渡仏し、99年から10年間パリ発日本語情報誌『Bisouビズ』の編集長を務め、同時に日本の雑誌やWebに情報記事、コラムなどを寄稿。
2010年に日仏バイリンガルサイト『BisouJaponビズ・ジャポン』を立ち上げ、ジャパン・エキスポなどパリで行われる見本市で、日本企業や日本人クリエーターの出展をプロデュース、展示会の企画コーディネートの仕事を始める。
2018年に22年間のパリ滞在にピリオドを打ち、日本に帰国。

『BisouFranceビズ・フランス』
https://www.bisoufrance.com/

個人ブログ『湘南二宮時々パリ』
http://ninomiyaparis.blog.fc2.com/

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