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アクリマタッション公園“春祭り”内輪話、ほぼ日記 最終回

第4週目は、“和”の週として、ビズ・ジャポンのおすすめページ登録会員である瞬浮世屋とアートメモの浮世絵を展示販売する。同時に、アーティスト会員の山下節子さんの和布を使った人形やアクセサリー、1週目出展の久志本さんの和風額および宮野君の彫刻作品のお雛さまと折り鶴ピアスが復活。“和”という括りはあったものの、ちょっとごちゃごちゃ感があった。まあ、お祭りの野外展示なので、にぎやかでいいか。
この週も頼みの土・日曜が曇りのち雨、しかも、パリとその周辺は復活祭の休暇が終わり、学校が始まったので、平日は、客が少なめ。ただ、メーデーの5月1日はこの春祭り開催中で、唯一の(だよ、信じられないことに)朝から晩まで雲ひとつない晴天で、切符売り場に列ができる人出となり、アクリマタッション公園にとっても入場者数の新記録を打ち立てた一日だったとか。おかげさまで、ビズのブースにも午後は身動きできないほどの人が押し寄せた。ただ、ファミリー層がメインの公園で、高額の浮世絵は売れず。当り前のことだが、その場所に集まる客層に合ったものを置かないとモノは売れないということを実感。お隣のこけしは、飛ぶように売れ、観察していると、フランス人の子どもたちが「見て、お人形!」とうれしそうに、寄って行く。ふーん、こけしって人形なのか、確かに人の形をしてるもんなぁ、などと再認識。
春祭り4週目
(第4週目のビズ・ブース)

“その1”にも書いたように、夫がこのイベントとほぼ時を同じくして、一人で日本に行っているので、学校のない週末に息子をどうするか、ということでけっこう頭を悩ませた。発達障害の息子は、人とコミュニケーションがうまくとれないため、学校でも友達ができず、週末にちょっとあずかってもらえるようなママ友達が地元にはいない。それで、私の友人を頼りにすることになるが、第2週目はコーディネーター横澤氏が一人でちゃんと働いてくれたので、土曜は会場に連れて行き、一緒に乗り物に乗ったり、遊具で遊ばせたり。日曜は、うちからそう遠くないところに住む、友人宅で預かってもらった。第3週目はアクリマタッション公園近くに住む、息子と年齢が近い3人の子どもがいる和太鼓仲間のところにお泊まりさせてもらう(感謝)。

この4週目は、5月1日のメーデーを含め、休みが3日あったが、元息子の幼稚園の担任だった宮野くんもいるし、毎日、ブースにいた山下さんの娘、さなえさんは、パリ近郊に住んでいて、何を隠そうビズの漫画紹介記事を書いている人なので、二人に時々は店番を任せて、息子の相手もできるだろう、と人に頼る(甘える)という寸法。さらにありがたいことに、出展者の一人、マレで和小物ブティックを経営するみやこさんが、甥っ子を連れて来ていて、夕方はバイトさんに店を任せて、甥っ子さんとうちの息子を連れて遊具のある広場で見てくれたり。彼女は元小学校の先生ということもあって、息子のような問題のある子でも上手に扱ってくれる(感謝)。
 
 2週目の土曜日に初めて、息子を連れて来た時に、自分はこの年頃の頃はお小遣いをもらって、一人でお菓子を買いに行ったりしたよなぁ、と息子に10ユーロを渡すと、あっという間に10ユーロのミニカーを買ってしまう。息子が「?!」なことをするたびに、障害のせいなのか、このくらいの年頃の子にはありがちなことなのか、と悩むが、コーディネーターの横澤さんが、「うちの子も、持ってるお金は全部使っちゃうので、必要な分だけしか渡しませんよ」と言ったので、そんなものか、と。ところが、その後、どこかに消えたかと思うと、おもちゃやお菓子を手に持って帰って来て、「○○でもらった、△△がくれた」と出展者の名前を言うが、まさか万引き?と心配になり、「息子が先ほど△△をいただきまして」と念のため挨拶に回ると、先々で「いえ、いいんですよ」、「たいしたものじゃなくて」と言われ、胸をなでおろす。その後、しばらく消えたと心配していると、たこ焼き屋に並んでいたという。「何が欲しいの、って聞かれたから、何もいらない、って答えた」とけろっとして言うので、これまた障害のせいか、色々なものをいただいたせいで、タダでもらえるかも、と期待したのか?はたまた、小遣いせびりの手口なのか分からず、それでも息子がかわいそうになり、結局、一緒に並んでたこ焼きを買うはめに(甘い?)。  
また、一度は「遊び場(遊具のある場所)に行って来る」と言って帰って来ず、迎えに行くと姿が見当たらず、「オレンジ色のダウンジャケット着た子見かけませんでしたか?」と言いながら公園中を探しまわって探したところ、私の知らなかった別の遊び場(この公園は広い!)で日本人の男の子たちと走り回って遊んでいた。見つかってほっとしたが、今度は「無事、見つかりました」と言って回り、息子を連れて来ると仕事にならない上に、体力を消耗することが分かる。
 この週、息子はお弁当を販売していた、和食店しなのの美しいおかみさんをいたく気に入った様子で、彼女に海さんというあだ名をつけ、「腹減ったから、海さんのところに行って来る」とお金を催促し、いそいそと何度も出かける、オヤジ状態であった。

最後の週は4日間のみで、書家でパステルアート画家の秋山光麗さんの個展。夫が帰国したので(京都で受けた剣道六段の昇段審査は不合格)、息子を預けることができ、展示会に専念できた。一度みやこさんの甥っ子さんが「剣ちゃんと遊びたい」と訪ねて来てくれて、涙が出るほどうれしくなる。うちの息子と遊びたがる子どもなんて、まずいないので。  
初日の朝に他の出展者から「あら、今週は、すっきりしていて、ブースにも入りやすいわね」と声をかけられる。今までは、やっぱりごちゃごちゃしすぎだったか。
秋山さんは清楚な美人で、明るい紫色の着物を上品に着こなし、「写真を撮らせて下さい」と何十人にものフランス人から声をかけられた。一度、日本人男性から、3人(私も入れて)で一緒に写真を撮りましょう、と言われ、さらに「お二人は姉妹ですか?」と尋ねられる。秋山さん姉妹だなんて、お世辞でも、うれしいわん!と気分がよくなる。その後、今回、ビズのブースをほぼ毎週のように娘さんと訪ねてくれたTさんに「姉妹ですか、って聞かれたんだけど、どっちがお姉さんに見える~?」と聞いたら、Tさんは、こっそり秋山さんを指差したので(実際、秋山さんの方が一つ年上)、「おほほ、そ~よね~」とますます気分がよくなっていたところ、日本人の老婦人が来て、秋山さんを見ながら、私に「お美しいわねぇ、あなたの娘さん?」!!!思わず、声を荒げて「私の方が年下なんですけど!」と言ってやると、「あら、だってよく似てらっしゃるから」って、何にも言いわけになってねえだろう!
ちなみに、秋山さんの作品は、美しく繊細なパステル画に、書という取り合わせがフランス人の美意識にあったのか、実によく売れました。
光麗さん
(秋山さんと作品を購入してくださったフランス人女性)
 
春祭りは、5週間の開催中、あきれるほど天気が悪かったせいで、客入りはよくなかったが、終わってみれば、楽しいイベントであった。雨で客が来ない時はゆっくりアーティストさんたちと話(おしゃべり?)ができたし、出展者同士の交流もあり、お菓子をお裾わけしあったり。昼間から他の出展者とワインを一緒に飲んだり、と、これはフランスのお祭りならでは、だな。
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アクリマタッション公園“春祭り”内輪話、ほぼ日記 その3

第3週目はフェイクスイーツ週。この世界で第一人者の氣仙えりか先生と14人のお弟子さんの作品を展示販売することに。
氣仙先生とは、去年のパリのジャパンエキスポで面識を得る。去年はビズも出展したのだが、「向こうで、江草さんのブースに行ってみたら、と言われまして」と、訪ねてくださったのだ。それで、今回の春祭りにお誘いしたところ、興味を持っていただいたのである。
ジャパンエキスポで、氣仙先生にビズブースを訪ねるよう勧めたのは一体、どなたなのか?その時にも聞きそびれ、いまだ謎のまま。その方のおかげで、こうして縁ができたわけで、御礼をしたいのだが・・、カミングアウトしてくれれば、ご恩返しをしますぞ~。

フェイクスイーツとは、樹脂粘土でできたホンモノそっくりのお菓子で、フランスではまだ、それほど知られていない。これをビズブースで紹介し、手ごたえがあれば、フランスにフェイクスイーツを普及させるお手伝いをし、それがビジネスになれば~、なんて夢を見て、気合が入る(別に、他の週は力を抜いている、というわけではない)。
日本からは氣仙先生の二人のお弟子さん、徳丸奈保子さんと和良地陽子さんが来てくださり、会場でデモンストレーションや、フェイクスイーツのワークショップをしていただくことに。
さて、蓋をあけると、初日の土曜日は、人が驚くほど、ビズブースに入って来て、モノがよく売れ、「江草さんのところ一人勝ちですね」とまで言われる。ブース前にテーブルを出し、ワークショップをしていると人が集まって来る、また、徳丸さんのかわいらしいロリータ・ルックも注目を集め、フランス人ムッシューたちが、カメラを持って寄って来る。人だかりができれば、さらに人が集まって来る。・・こりゃあ、私にもやっと運が巡ってきたわい、と喜んでいたのだが、翌日曜日は、売上が激減して、なんと前日の5分の1。確かに土曜に比べると天気が悪く、入場者数もやや少なめであったが、しかし、この差は一体??「うちは土曜より日曜の方が売れましたよ」なんて出展者もいたし・・。
これは、以前にも書いたように、売れオーラのせい、なのか?つまり、同じ会場でも、今日はこのブースになぜか客が集中している、とか、さらに同じブースでも、今日はこの品だけがやたら売れる、という現象が起こり、それはブースあるいは商品が“売れオーラ”なるものを発しているからだと聞く。ちくしょー、売れオーラ発生装置が発明できれば、億万長者になれるのにぃ、とどうしようもないことを考える。
この週は、パリとその近郊地域が、イースター休暇にあたっているので、平日でも親子連れが来る可能性が大いにある。気をとりなおして、月曜からまた、張り切るのだ、と思っていたら、いきなり月曜は朝から雨模様。当然、お客が来ない。人が来なければ、たとえ売れオーラが再び復活しても、何の役にも立たない。
屋外ブースで、雨、おまけに4月下旬とは思えない寒さ・・、と何ともみじめな気持になってしまったが、実はこのイベントが始まる少し前に、小林正樹監督の『人間の条件』なんていう、重い映画を見ていたので、「終戦直後に満州にいた日本人の過酷な状況を考えれば、雨で多少寒いくらい何だ!」と自分を叱咤激励する。さらに、日本からわざわざ来て、パリ観光もせずに、雨の中、ずっとブースにいる徳丸さんと和良地さんのことを考えれば、愚痴など言っていられないのだ。しかし、悲しいかな、この週は、最後まで毎日雨だったのだ。

このイベントは第一週目から、天気に恵まれず、雨がひどくなりブース内に水が流れ込み、慌てて、商品の入った段ボール箱をゴミ用の大きなビニール袋に入れたり。また、風のひどい日もあり、一度、コーディネーターIさんのブースで、突風のため、展示ツールが倒れ、何と、とんぼ玉作品50万円相当がこなごなになった事件があった。風をまともに受ける位置に屏風型の展示ツールを立てるという無謀なことをしていたらしいが、屋外展示の経験がなかったらしい。まあ、私も屋外は初めての体験だけど。
その点、右隣の和小物販売ブースは、雨が降ればさっと展示台にビニールシートをかぶせ、モノをストックする箱は、組み立て式スチール棚に整然と並べ、また、寒さ対策で、小型ヒーター、電気ポットまで、準備していた。そのブースの出展者の一人、和小物クリエーターのさとみさん曰く、「マルシェ・ド・ノエル(12月に屋外で行われ、雪が降ることもある)を経験しているから、屋外展示の雨・風・雪・寒さ対策はばっちりよ!」。そう、人間は、経験から学び、知恵や工夫を重ねて、賢くなっていくのである。
左隣のこけし屋さんも、まさに展示会はベテラン、といった様子で、展示用テーブルクロスは水にも汚れにも強いビニール製(しかも真っ赤で人目を引く)、雨が降るとさっと透明の防水シートを天井からたらす・・、これなら雨風を防げ、しかも、客(雨にもかかわらず、たまに傘をさして来る人がいる)は商品を見ることができる。床にはちゃんとパレット(荷役台)を置いている・・、プロである。そして、こけし屋の店主であるフランス人ムッシューは、雨で意気消沈している私たちに、「雨が降れば、客が来ない、そうすれば売上げは落ちる、何の不思議もないさ!」と、けろり。“心の持ちよう”まで、悪天候対策が、しっかりとなされているのであった。
第3週
(左・和良地陽子さんと右・徳丸奈保子さんと、ワークショップに参加してくれた、母子)

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プロフィール

江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター・コーディネーター。
96年に渡仏し、99年から10年間パリ発日本語情報誌『Bisouビズ』の編集長を務め、同時に日本の雑誌やWebに情報記事、コラムなどを寄稿。
2010年に日仏バイリンガルサイト『BisouJaponビズ・ジャポン』を立ち上げ、ジャパン・エキスポなどパリで行われる見本市で、日本企業や日本人クリエーターの出展をプロデュース、展示会の企画コーディネートの仕事を始める。
2018年に22年間のパリ滞在にピリオドを打ち、日本に帰国。

『BisouFranceビズ・フランス』
https://www.bisoufrance.com/

個人ブログ『湘南二宮時々パリ』
http://ninomiyaparis.blog.fc2.com/

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