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発達障害の息子、ラグビーを始める

発達障害の息子は、この9月に中学生になったが、悩んだ末に、パリの私立校の特殊学級ではなく、地元公立校の普通クラスに入れることにした。
息子は、情緒障害、特にコミュニケーション障害のために、人とうまく付き合うことができず、友達というものが全くできない。特殊学級では、勉強よりも、コミュニケーション能力や社会スキルを身につけることに重点を置く。ただ、職業訓練高校に入ることを前提としたカリキュラムなので、進路が限られてしまうのだ。社会スキルをしっかり習得し、仕事につながる技術を身につけてくれれば、それでいいという気もするが、小学校では、何とか授業についていき(正しくは、授業を無視して、絵を描いたり、マンガを読んだりしていることが多かったそうだが、テストでは何とか及第点をもらった)、全国テストもフランス語は惨憺たる成績だったが、算数はまあまあで、小学校最終学年の担任からは、教育アシスタントをつけて、普通クラスに入れることを強く勧められた。それで、まずは普通クラスに入れて、様子を見よう、ということになった。

私が繰り返し読んでいる『自閉症感覚 かくれた能力を引き出す方法』の著者テンプル・グランディンは、うちの息子と同じ高機能自閉症であるが、動物科学博士号を持ち、動物施設の設計士として活躍し、同時に自閉症関連の本を数冊書き、講演も行っている。彼女が子どもの頃、専門家は施設に入れることを勧めたが、母親が拒み、普通教育を受け続けられるよう、色々な努力をしたそうだ。そう、施設に入っていたら、今日のグラディンのキャリアは実現されなかっただろう。
この本の“私はオタク”という項で、グラディンは、以下のようなことを言っている。(多少、端折って一部要約)
―自閉症・アスペルガー症候群の人間は、しばしばオタクと同類で、理系オタクは、シリコンヴァレーで働き、才能を高く評価されるケースがある。人は社交的であることを求められ、世間の人は“人づきあいを人生の究極の目的”と考えるが、SNS、メールなど、人づきあいで使われる電子通信媒体は、ある程度自閉症の傾向がある人の手で作られている。「理系オタク」は、自分たちが生み出す新しいテクノロジーに熱中し、「社交中毒者」(なかなか嫌みな表現だな)は、最新テクノロジーを使って、人と付き合うことに熱中する。さらに「社会できちんとふるまえて、他人との付き合い以外でそれほど問題がなければ、子どもが本来持っている関心を尊重し、それを表現する方法をはぐくむべきだと思います。世の中の誰もかれもが社交的なわけではありません」ときっぱり言っている。
算数が好きで、レゴやピタゴラ・スイッチにはまり、去年からテクノロジー・クラブ(今のところ、木片で飛行機や船を作るレベルだが、そのうち電気のしくみなども習う)に熱心に通い、ゲームが大好きな息子は、理系オタクの素質アリだ。この際、友達作りは後回しで、目指せビル・ゲイツ、スティーブン・ジョブス(二人とも発達障害の疑い大)で、理系オタクの道を歩んでもらうのも、いいかも。


と勝手に夢を膨らませていたのだが、新学期になると、息子は「ラグビーをやりたい」と言い出す。え!ラグビーなんて、理系オタクの対極にあるものではないかえ?
ラグビーと言えば、中村雅俊が熱血先生を演じていた、青春ドラマ『われら青春』。仲間とスクラム組んで、勝利に向かって一緒に熱くなる、ってあんたにとって一番苦手な世界じゃないの?このドラマの挿入歌に、♪いちばん大事なものはなあに~? きまってい~るよ 友達さぁ~、なんてのがあって、友達がいないあんたには一番不向きなスポーツだよ、なんてことを、もちろん息子に向かって言えるわけがない。
どう考えても個人競技向きなんだけどなぁ、と思いつつも、本人がやりたいことをやらせてやろう、とコンフラン市のラグビー・クラブに登録する。フランスは残念ながら中学に日本の部活のようなものが存在しないので。

ひょっとして、有名ラガーが実は発達障害、なんてケースはないだろうかと、“ラグビー”、“自閉症”で、ググると、『一緒に見上げた空[自閉症児×元不登校児]武蔵野東ラグビー部の軌跡』という本が見つかる。武蔵野東学園は、自閉症児の募集枠があり、健常児との“混合教育”で知られる学校。アマゾンの解説によると、ジャーナリスト大元よしき氏によるこの本は“自閉症児と元不登校児たちがチームを組んで、ともにラグビーボールをつないでいく-。 武蔵野東技能高等専修学校ラグビー部の80人の部員と8人の顧問団が織りなす感動のノンフィクション”とある。さらにググって、ラグビー好きらしい、まゆはるさんとおっしゃる方の個人ブログでこの本を取り上げているのを発見。それによると、このチーム、東京都大会で準々決勝まで進んだらしい。まゆはるさんは、「ラグビーは身体の大小、足の速い遅い、それぞれにあったポジションがあるから誰でも出来るといわれる。誰しも役割を持ち、その役割を果たすために努力する。これが子どもたちに、いい影響を及ぼす。すばらしいことだ」とも書いていらっしゃる。
 なるほど、相撲部屋に入門した方がいいのでは、と思えるほどに太ってしまった息子(特にお腹周り・・)であるが、あの体型を活かし、チームの一員として役割を果たしている、という意識を持てるようになり、仲間とボールを投げ合うことがコミュニケーション能力の開発(コミュニケーションは言葉のキャッチボール、とも言うし)につながることをおおいに期待しよう。

次回、帰国時にこの本はぜひ、買わねば。

さて、ラグビーの練習場は、コンフラン市のはずれにあり、うちから車で片道15分近くかかるので、1時間半の練習時間、私はそこに残って、息子の様子を見ることに。クラスは年齢別なので、息子のクラスにはラグビー歴4年なんて子もいる。しかも、コーチの方針か、ランニングやパス練習などの基礎訓練はほとんどなく、実戦まがいのことばかりやっている。案の定、息子はボールをパスされても落とすし、もたもた走り、意味なくとび跳ねたり、ボールの上にみんなが重なり合っている時に、棒立ちでそれを眺めていたり(これが、息子のポジションの役割??)で、大丈夫だろうか、と心配になる。でも、ボールを追って走るのはダイエットにもなるだろうし、何より本人が、「楽しい」と言っているので、とりあえず、よしとしよう。
ラグビー始める




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プロフィール

江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター・コーディネーター。
96年に渡仏し、99年から10年間パリ発日本語情報誌『Bisouビズ』の編集長を務め、同時に日本の雑誌やWebに情報記事、コラムなどを寄稿。
2010年に日仏バイリンガルサイト『BisouJaponビズ・ジャポン』を立ち上げ、ジャパン・エキスポなどパリで行われる見本市で、日本企業や日本人クリエーターの出展をプロデュース、展示会の企画コーディネートの仕事を始める。
2018年に22年間のパリ滞在にピリオドを打ち、日本に帰国。

『BisouFranceビズ・フランス』
https://www.bisoufrance.com/

個人ブログ『湘南二宮時々パリ』
http://ninomiyaparis.blog.fc2.com/

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