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マリオン・コティヤールが主演のダルデンヌ兄弟監督の新作“Deux jours, une nuit”

ベルギーのジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌは私にとって新作が待ち遠しい映画監督の一人(っていうか兄弟だから一組?)である。
カンヌで二度もパルム・ドールを獲得している巨匠であるが、日本で言うミニシアター系というかマイナー(何をもってしてマイナーというか、なんて考えているとまた脱線するので、メジャーではないとでも定義するか)な監督かもしれない。にも関わらず、今年のカンヌに出品されたこの“Deux jours, une nuit(Two days, one naight)”はフランスのマスコミでやたらと取り上げられている。なぜなら、マリオン・コティヤールが主演しているから。

コティヤールは、『エディット・ピアフ~愛の賛歌~』で主役のピアフを演じ、セザール、ゴールデングローブ、アカデミーの主演女優賞を受賞したことで、世界的に名前を知られるところとなり、以後、ハリウッドで娯楽大作に出演する(出稼ぎ?)と同時にジャック・オーディアールのような映画通好みの監督とも仕事をしている、実力と人気をともなった、フランスを代表する女優。
本人、ダルデンヌ監督の大ファンらしく、夜8時のニュースに生出演した際に、彼らの作品は全部観ているし、まさか、フランス人である自分にオファーが来るとは思わなかった、とうれしそうに語っていたので、私が「だってダルデンヌ兄弟は前作でも、セシル・ド・フランスを使ったよ」と言ったら、夫が「彼女はベルギー人だよ」??え??ド・フランス(“フランスの”の意)って名前のくせに?しかも本名だというし。そういえば、少し前にFaceBookに、「キャロル・ブーケがミシェル・ブーケの娘ではないことを知って、高峰秀子と高峰美枝子が姉妹じゃないことが分かった時と同じくらいショックを受けた」と書いたら、叶姉妹も実は本当の姉妹ではない、というコメントをもらった。こういう思い込みって、まだたくさんありそう、叶姉妹はどーでもいいけど(脱線)。
 フリーペーパーに載っていたコティヤールのインタビューによると、この“Deux jours, une nuit”、80回!の撮り直しをしたシーンもあるという。ダルデンヌ監督は長回しを多様するので、確かに、撮り直しは多いだろうけど、しかし80回って・・有名女優といえども「やってられないわ!」なんて怒れないだろうな、巨匠ダルデンヌ相手に。そういえば、岸恵子が、大巨匠小津安二郎が何度も撮り直しをするので、大胆不敵にも「どうしてですか?」と尋ねたところ、小津が「恵子ちゃん、それはキミが下手だからだよ」ときっぱり言われた、と岸自身が語っていた記憶が(また脱線)。

さて、この“Deux jours, une nuit”、途中、何度も涙が出て、見終わった後は、すがすがしい気分になる、という今までのダルデンヌ作品にはないタイプかも。まあ、芸なく言ってしまえば、生きる活力を与えてくれる映画です。日本でも上映されると思うので、ぜひ、観てください!

ちなみに、我が家から歩いて10分のところにスクリーン数12のシネコンがある。パリのベッドタウンのシネコンだけあって、大衆受けする作品の上映が中心で(他国語作品は吹き替えが多いし)、フランスを代表する大監督アラン・レネの遺作さえ取り上げず、当然ダルデンヌ作品がかかったことなど一度もない(少なくとも私が住み始めてからは)。ところが、“Deux jours, une nuit”は、ここで上映された。まさに、マリオン・コティヤールさまさまである。しかし、私の他に観客はたった5人。まあ、平日昼間の回だったので、夜はもう少しマシかもしれないが。

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母校の海外支部交流会とジャン=ジャック・ルソー

先月の18,19日に行われた、母校、立教大学の海外支部交流会と地域代表者会議に、パリ支部代表(なんか、かっこいいぜ)として参加して来た。

 今年の1月に、パリ支部長さんから「江草さん、4月に日本に帰らないの?」と尋ねられ、ちょうど、復活祭の休暇に息子と二人で、帰国予定だったので、「帰りますけど」と答えたのが運のツキ。支部長の代わりに海外支部交流会に参加してほしい、と言われる。海外支部交流会とは、世界各地にある、立教会の代表者が年に一度、集まり、大学の総長や校友会会長たちと意見交換する場、とのことである。今回は、神奈川県の片田舎の実家に泊まる予定で、池袋まで2日続けて出るのは、ちとたいへん。おまけに、帰国中、唯一の週末がつぶれてしまうし、と思ったが、今まで他の人に任せていたのだし、それに好奇心も働き、参加することに。そうだ、運のツキどころか、何かのチャンスかもしれないのだ(何のだ?)

さっそく、大学最寄りのビジネスホテルを前日夜から3泊予約し、せっかくのトーキョーナイトってことで、東京に住む、友人、知人、仕事仲間に夜、会いましょう!と声をかける。
初日18日は、12時15分から約1時間、セントポールズ会館にて、留学予定の学生たちとの交流会に参加。パリらしさ演出するために(何のこっちゃ?)一張羅のアニエスベーのツーピースを着て行く。セントポールズ会館と呼ばれる、一階にレストランのある建物の二階の会場で、ビュッフェ形式の料理が用意されていた。数少ないテーブルの中からさっさと一つを陣どり(オバサン的行動)、「みなさん、ここへ!」と学生さんを誘う(オバサン的貫禄)。フランス留学予定の男子学生二人、女子学生二人から、パリの治安、物価などなどの質問を受ける。男子学生二人はフランス文学専攻で、一人はエミール・ゾラ、もう一人はジャン=ジャック・ルソーの研究をしているという。この時代にも、文学&哲学青年がいるんだ、と感心。正直に言いますが、彼らの先輩である私は、どちらも一冊も読んでいません。

続いて、1時間ほどの校友会海外支部交流会・総長懇談会に参加する。出席者名簿の肩書きを見ると、“○○立教会会長”とか、“名誉会長”とか“幹事長”とあるのに、なぜか私の肩書きは“パリ立教会幹事”って、飲み会の世話役みたい。学生との交流会と違い、円卓のしごくまじめな会議で、私の対面には、元阪神タイガースの掛布雅之に知性をプラスしたようなお顔立ちの吉岡知哉総長が、座っておられる。しかし、時差ボケによる眠気がちょうど襲う時間でもあり、ついうつらうつらしてて、何回か頭ががくんと落ちてしまった(のは、私だけではなかったはずだ。なんせみんな、海外から戻って来たご仁たちだから)。
この後、大学の購買部に寄って、シャーペンを買う。何か尋ねられたら(「あなた、社会人学生さん?」とか)、「卒業生で、海外支部交流会に参加しています」と言おうと、身構えていたが、何も言われず。誰でも買えるのね。

一度ホテルに戻り、ちょっと横になってから(寝過ごさないように注意して)、今度は、16時半からの懇親会に出る。昼のビュッフェよりグレードアップし、お寿司、オードブルからプチケーキまである。夜、友人たちと飲み会の予定だったが、そこでは、飲むだけにすればいいし、とケーキまでしっかり食べる。
懇親会で総長と話す機会があり、昼間のゾラとルソーの話をすると、「今時、仏文科でフランス文学をやる学生も珍しいな」??じゃ、一体何を勉強してるんですか?と聞くと、「フランス映画とか、ファッションとか」。映画は許されるけど、ファッションはなぁ・・、まあ、ファッションも文化と言えなくないが。さらに総長は「ルソーは今、またブームになっているんですよ」と仰る。ふーん、じゃ、読んでみるかな。ヨーロッパ政治思想史が専門だった総長は、パリに留学していた経験があるが、「勉強はしないで映画ばかり見ていた」と仰る。亡き梅本洋一(っていうか、この時、私は彼が亡くなっていたことを知る)と親しく、蓮見重彦に頼まれて、雑誌『リュミエール』にクリント・イースドウッドの『ペールライダー』論を書いたというから、かなりのシネフィルである。「ぜひ、読んでください」と言われたので、「サイトに掲載されているんですか?」、「いいえ」・・バックナンバーを探せと?日本にいれば、しないこともないが。

その夜は、学生時代によく行っていたマダムシルクにて、ここ数年の帰国恒例行事となっている、文学研究会の後輩Mちゃんと待ち合わせ。後から同会で私と同学年だった友人3人が加わり、さらに仕事仲間の出版社社長、浮世絵版元社長さんも加わる(過密スケジュールなので)。
さっそく、ゾラとルソーの話をすると、文学研究会仲間で、仏文科で隣のクラスにいた(うちの学年は仏文科は2クラスあった)I氏に「え?読んでない?」と呆れられる。「ルソーを読むなら、フランス語で読んだ方がいいかな?」と聞いてみると、「古いフランス語で分かりにくいから、日本語で読んだ方がいいかも」。なるほど、文語体って感じかね。

翌日の午前中、旭日屋書店で、ルソーの『エミール』を見つけるも文庫で3冊と長い。本来なら、まず1冊目を読んで、面白ければ次を買いたいところだが、なんせフランスに住む身、ええーい、と3冊まとめて、ついでに『孤独な散歩者の夢想』まで購入する。
この日は、14時からの地域支部代表者会議に参加する。こちらは、広い階段式会議室に、日本全国の地域支部の代表が集合。今年はバンコク立教会、札幌立教会がスライド写真等を使って、活動内容を発表したのだが、駐在員メンバーが多いらしいバンコクはさすが活気があり、クリスマス会、ゴルフコンペ、演奏会などなど盛んにイベントを行っている。それに比べて我がパリ立教会は、年に一度の新年会以外はほとんど活動をしていない。日本企業がフランスからどんどん撤退して、駐在員が減っているので、当然、立教会も私が入った15年前に比べると駐在員がほとんどいない。配偶者がフランス人だったりフランスで起業したりしていたりの在住組は高年齢化するばかりだ(自分も含めて)。ただ、配られた資料をめくってみると、国内の立教会でも“課題”欄に「若手会員が増えない」とか「若手が参加しない」とあるので、これは、一般的傾向か。
この日の16時半からの懇親会は、再びお寿司とオードブル類、ワインまで出たが、夜、食事会の予定があったので、ワインをちょっと飲むだけにとどめる。
その後、まずは、池袋の保育園に勤める保育士の友人と待ち合わせてお茶したのだが、彼女は都立の保育士養成所の授業でルソーについて勉強したのだという。確かにルソーは教育哲学者だし、『むすんでひらいて』の作曲も彼なんだよね、ってそれはあまり関係ないかもしれないが。
夜は大学の仏文科の友人たちと東武デパートの上の中華料理屋に集まり、再度、ゾラとルソーの話を持ち出すと、誰も読んでおらず、ホッと(?)する。「Rちゃんなら読んでるかも」とその日、参加できなかった読書家の名前が上がって、その話題は終わる。今年の3月に仏文科の創立50周年記念パーティがあったのだが(もちろん、私は参加できず)、そこにも総長が来ていたらしく、「そういえば、彼は東大卒だよね」!立教の総長だから立教出身者がなるのだと勝手に思い込んでいたが、考えてみれば、仏文科の先生方も東大卒だらけだったし、東大出に牛耳られちょる大学だったのだな。まあ、別に文句はないが。

あとでググってみたら、総長は、東大法学部卒で、専門は18世紀のフランス政治思想で、
著書に『ジャン=ジャック・ルソー論』とあった。ブームって、まさかマイブームだったりして・・。
いずれにせよ、『エミール』を読むのが楽しみ。

立教大学
(二十数年ぶり!)

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プロフィール

江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター・コーディネーター。
96年に渡仏し、99年から10年間パリ発日本語情報誌『Bisouビズ』の編集長を務め、同時に日本の雑誌やWebに情報記事、コラムなどを寄稿。
2010年に日仏バイリンガルサイト『BisouJaponビズ・ジャポン』を立ち上げ、ジャパン・エキスポなどパリで行われる見本市で、日本企業や日本人クリエーターの出展をプロデュース、展示会の企画コーディネートの仕事を始める。
2018年に22年間のパリ滞在にピリオドを打ち、日本に帰国。

『BisouFranceビズ・フランス』
https://www.bisoufrance.com/

個人ブログ『湘南二宮時々パリ』
http://ninomiyaparis.blog.fc2.com/

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