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剣道二段審査会

剣道音痴で、初段を取るのに12年かかった私が、初段取得後2年で、二段審査に挑戦することになった。
同じ剣道クラブのメンバーの中で、私より後に初段を取った人が、すいすい二段に合格していく。他人と自分を比較してはいけない、私なりのペースで剣道をやればいいのだ(要するに人にはついていけない)、と言い聞かせ、地道に稽古をしてきたつもり。

去年末に我がクラブの指導者で、フランス・ナショナル・チームのコーチもしている七段のラバイユ先生に「あの~、二段を受けようと思うんですけど」と恐る恐る言ってみたところ、「ああ、大丈夫、受かるよ」とあっさり。剣道に関してはいい加減なことを言う人ではないが、念のため「本当に受かるでしょうか?」と再度聞くと、「キミは受かるよ」!!それだったら、そっちから「そろそろ二段を受けたらどうだ?」って提案しろよ、と腹が立つが、まあ、自分はクラブの中で、高段を目指したり、全国大会に出るような中心メンバーからは、遠いところにいるので、仕方ない。

 それで、2月の最終日曜日に、パリ郊外のルヴァロワで行われたオープン・ド・フランス大会の審査会で二段に挑戦することにした。
 審査会は試合の後、夕方5時から始まる。夫は試合には参加しないが、見学したいから、と朝から車で出かけたので、私の防具だけ、持って行ってもらい、14時頃に、息子と二人で家を出て電車に乗って会場に向かう。
 初段は二度目の挑戦で受かったので、それより難しい二段は一度で受からずとも恥ずかしくない、なんて思っていたはずなのだが、前日は眠れず、食欲までなくなり、頭と肩と腰も痛くなる。ベストコンディションだって受かるかどうか分からないのに、この体じゃなぁ・・。
会場には15時過ぎに着き、少し、クラブのメンバーの試合など見ていたが、落ち着かず、早めに着替えて、会場の廊下でストレッチを始める。

 試合は時間どおり終わり、表彰式は5時少し前に行われる。そして審査会だ。
この日は、二~五段の審査が行われたが、受験者は少なく、二段はたった7人。年齢順に受けるので、私は最後の207番。206番の受験者は、30歳は過ぎてるかな?程度の若者。二段なんて、みんな剣道を始めて、4,5年目にさっさと取ってしまうものなのだ。三段受験者には一人、どうみても私より年上のムッシューがいたが。
 審査時には、名前入りの垂れゼッケンをはずし(審査員が身内びいきをしないように)、代わりに受験番号を貼る。ラバイユ先生は四,五段の審査員であったが、二,三段の審査員の中にクラブのもう一人の指導者、六段のモタル先生がいらっしゃったので、面をかぶる前に、207と大きく書かれたシールを貼った垂れを先生の方に振って見せると、口に指をあてながら、先生はこちらをにらむ。そう、審査会は神聖かつ厳正に行われなければならないのだ。
 さて、審査が始まると他の受験者がみんなずいぶん、上手に見えて、自分の番が近づくと、情けないほどに心臓がどきどきし、足まで震えて来て、ちゃんと歩けるだろうか、と不安になる。
 自分の番号を呼ばれたとたん、頭の中は真っ白になり、「大きな声で気合を入れれば、それだけでもポイント稼げるから」と言われたことだけ思いだし、切り返しという基本技を披露する前に、喉が痛くなるほどに力いっぱい「やー」と叫んだことだけは覚えている。引き続き、相手を変えて二度の実技を行うが、じたばたしているうちに終わった感じ。どうかなぁ、と観客席にいた夫の方をちらっと見ると、何と隣の四段、五段審査の方を見ているではないか!まもなく、審査会の取りまとめ役がこちらに寄って来て、「二段受験者は全員、剣道形の準備をしなさい」。剣道形は剣道の実技に合格したものが行う、ってことは、え?全員合格?そう合格したのだ。
 剣道形も無事、終わり、二段は初挑戦で合格!信じられないことに。

審査員の中にいた、フランス・ナショナル・チームの前々キャプテンのラブリュー先生が、「出鼻面がとてもよかった」と褒めてくださる。出鼻面とは、相手が技を起こそうとする瞬間を捕まえて先に打つ(つまり出鼻をくじく、というやつだ)非常に高度な技である。「そんなもの打ちましたっけ?」と聞くと「覚えてないの?」と驚かれる。私の審査はちゃんと見ていたらしい夫が「一度目の実技はイマイチで、合格は難しいと思ったが、二度目がよかったな。面もちゃんと決まったし」と言ったので、「出鼻面だよね?」とさりげなく聞くと、「そう、それだ」。大会や講習会でよくビデオカメラを回す夫も、今回の私の審査は撮影していなかったので(そういえば、初段の時も撮影しなかったし)、その幻の出鼻面を確かめることはできない、残念。
無心から出た、技だったのか?まあ、たまたま私が面を打とうと試した時に、偶然相手が少し早く手を動かした、ってところかもしれない。でも、それなら、なんて運がよかったのだろう。高度な技ができると思われたのだから。

 会場に残っていた何人もの人たちから「おめでとう」と声をかけられ、実に気分がいい。二段!これで人にも堂々と「趣味は剣道」と言えるのだ。
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おめでとうございます!

江草さん、こんにちは~。

剣道2段の試験合格おめでとうございます!
こうなったら、3段取得も目指してチャレンジすべく?
また頑張ってみては??

おめでとうございます。

でも長かったですよね。フランスへ渡ることを決意してから、日本の剣道家のところ行き、そこで少し"素振りだけでもしてみたら"というのを、強引に防具も買ってしまって。

でも先見の明があったということでしょうか。

私はテニスをやっています。

3段はね~

マダムかおりんさん、ありがとうございます。

一昨日、さっそく先生から「3段を目指しなさい」と言われて、「え~、3段は・・」と・・。急に難しくなりますからね。
まあ、還暦の頃に取れれば、いいかと。年寄りにはけっこう審査も甘くなりますから。

No title

Ushizakaさん、こんにちは。

拙著を読んでくださったのですね。
でも、あの道場にいたら、私は今頃余裕で3段になっていたかも。素晴らしい先生でしたから。
午前中の女性向けクラスは20代から60代の女性がいて、みなさん楽しそうに剣道をされていました。

テニスも80歳まで続けられるスポーツと言われていますよね。

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プロフィール

江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター・コーディネーター。
96年に渡仏し、99年から10年間パリ発日本語情報誌『Bisouビズ』の編集長を務め、同時に日本の雑誌やWebに情報記事、コラムなどを寄稿。
2010年に日仏バイリンガルサイト『BisouJaponビズ・ジャポン』を立ち上げ、ジャパン・エキスポなどパリで行われる見本市で、日本企業や日本人クリエーターの出展をプロデュース、展示会の企画コーディネートの仕事を始める。
2018年に22年間のパリ滞在にピリオドを打ち、日本に帰国。

『BisouFranceビズ・フランス』
https://www.bisoufrance.com/

個人ブログ『湘南二宮時々パリ』
http://ninomiyaparis.blog.fc2.com/

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