ささやかな幸せを感じた一日

 フランスは、ここ数年、復活祭の頃まで寒い日が続くのが当り前だったのに、昨日から夏の陽気。南の方では海で泳いでいる人までいるそうな。

 天気のいい時にパリの街を歩くのは、気持ちがいい(パリに限らず、だけど)。

 昨日は、ビズが創刊した頃に広告を出して下さっていた、日本人夫婦経営のブランド用品委託販売のお店に、旅行者向けサイト用の取材にお伺いする。「お久しぶりですねぇ」と挨拶し、なごやかに取材は終わったところで、なんとお土産にマリアージュ・フレールのサブレをいただく。「まあ、お気遣いなく、こっちは仕事なんですから」なんて言いながらも、もちろん、ありがたく受け取る。
 
 うれしい気分で歩いていると、ピンクの水玉のかわいらしいカフェオレ・ボールが、特売で1・5ユーロになっている店を見つけ、そういえば、つい最近、毎朝使っていたボールを割っちゃったことを思い出して、購入。

 レンヌ通りにある、映画館アルルカンで、ヴィム・ヴェンダースの新作『PINA』を見る。3Dとかで、2ユーロ追加料金を払わされる。映画はいまいちで、途中、眠ってしまった。去年観た、同じくピナ・バウシュを扱ったドキュメンタリー『Les reves dansants, sur les pas de Pina Bauch』の方が面白かった。

 アルルカンの近くにあるアニエス・ベーを覗いたら、なぜかすごい人で、レジ前に行列までできている。一瞬、店に入るのをためらうが、翌日(つまり今日)は、私の誕生日で、面倒くさがりの夫は、好きなものを選んで買ってくれば、後でお金払う、と言われていたので(まあ、サプライズプレゼントで欲しくもないものをもらうよりいいし、一緒に買い物に行けば、ちょっと待たされただけで、いらいらし始めるので、ゆっくりモノを選ぶことができない。だから、一番合理的な方法なのだ)、人込みの中に突入。
 ビスコーズ生地の黒に白の細かい水玉模様のシンプルなワンピースを試着する。今日は水玉に縁があるかも。ちなみにフランスのアニエスって、なぜか広い試着室に、数人のお客が一緒に入るのだ。最初、驚いたけど、みんな周りの目なんか気にしていない、と思うと、見知らぬマダムが、「それ素敵ね」なんて話しかけて来たりすることも。最近、年相応に老けて来たなぁ、と鏡を見るのが嫌になる自分であるが、見回すと、試着室にいる他の3人のマダム達はみんな、50,60代と思しく、中にはミニスカートを試している人も。そう、フランス人女性って、いくつになっても自分の着たいものを堂々と着ている人が多いのだ。今朝も今年流行のふんわりフリフリのスカートをはいた50代かな?と思えるマダムを見たし。
 ワンピースは、着心地がよく、ひざ丈も長くもなく短くもなくちょうどいいし、扁平な私の体型を適度にカバーしてくれるデザイン。いいや、買っちゃえ!ケチ夫が、ワンピースにこの値段か!と怒りそうだが、その時は自分から自分へのプレゼントにすればいいや、と考える、大人な私。
 
 レジに並んでいると、後ろにいたフランス人マダムたちが、「やっぱり混んでたわね」、「仕方ないわね」などと言っているのが聞こえたので、思わず、「今日はセールなんですか?」と聞いてみると、「そうよ、メンバーズカードが届かなかった?」と尋ねられる。なるほど、プライベート・セールなのだ。前に日本人女性の二人連れがいたので、「今日、プライベート・セールみたいですね」と確認(?)すると、「そう、17時から。ひょっとして知らないで入ったんですか?」。そう、たまたま映画が17時過ぎに終わったのだ。レジで、「メンバーズカードを見せてください」と言われたので、持っていないというと、その場で申し込むように言われ、すぐに割引の恩恵にあずかれた。なんてラッキーな。これは神様から私への誕生プレゼントに違いない。
 しかも、シャンペンとお菓子までふるまわれたのだ。先ほどの二人の日本女性(駐在員妻で、夫同士が同僚、と話していた。一人はアニエスの大ファンで、メンバーになっていたそうだ)と少しおしゃべりして、なんか楽しい気分になる。

夏の陽気
(サンシュルピス広場)


 震災後、何だか、温かいごはんが食べられるだけでも、被災地の人たちに申し訳ない気がして、新しい服を買うなんてとんでもない、という気持ちだったが、春の訪れ(すでに夏の訪れか?)とともに少し気持ちも明るくなり、お買い物も楽しくできるようになってきた。また、以前より、ささやかなことに喜びを見出し、ありがたく思うようになったし。
 メンバー特典2割引き!のおかげで、ケチ夫も「高いな~」と言いながらも、ワンピース代を払ってくれることに。いやいや、ケチ夫などと呼んではいけない。ささやかな幸せ、誕生日にワンピースが新調できる生活に感謝しよう。
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ラッキー!

江草さん、お誕生日おめでとうございます!

アニエスベーのメンバーズカードって、フランスにも存在したのですね?日本も、一応ありますが・・・。

春物ワンピースがゲット出来て良かったですね~!

いいじゃないですか!景気づけですよ。
日本でもフランスでも、何かきっかけに前向きになれるのなら、
活性化していいと私は思います。

ありがとうございます

マダムかおりんさん、ありがとうございます。

私も全然、知りませんでした。会員になるように勧められたこともなかったし。って、バーゲン以外はほとんど行ったことがなかったからかも。

自粛、って前向きのイメージじゃないですもんね、復興に向けてもっとポジティブにならないと。

No title

お誕生日おめでとうございます~!

近くに来ていたんですね!
今、サンジェルマンのお店で働いているんですよ~
映画館のすぐ隣ですよ~

って、もう来週にもオペラ開きますけどね(希望的観測)
引っ越しはすんだのに、工事が終わらないんです。
心労が肌に悪いです。

ここ数日でだいぶふけました、わたし。。。

ありがとうございます

はなえさん、ありがとうございます

え、隣?全然気づかなかったです。

老けた、って思ったら、すぐにスキンケア

今更ながら、私も造顔マッサージなんて始めました。


お誕生日おめでとうございます。

震災地の人たちも、普通の生活を送ってくれと言ってくれているわけだし。

ありがとうございます

Ushizakaさん、ありがとうございます。

普通の生活+何か日本の復興のために役立つ活動、ということでしょうね、これからは。

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プロフィール

江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター。立教大学仏文科卒。映画理論を学ぶために96年に渡仏し、パリ第一大学映画学科に登録。PRESSE FEMININE JAPONAISEを設立し、99年にパリ発情報誌『ビズ』を創刊。現在、日本の雑誌やWebにフランスの情報記事、コラムなどを寄稿しながら、日仏バイリンガルサイト『ビズ・ジャポン』の編集長を務める。著書は芝山由美のペンネームで『夢は待ってくれるー女32才厄年 フランスに渡る』。

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