パリで、“朝隈俊男&和香”展を開く その1

 ことのはじまりは、2009年12月、剣道を通じて知り合った、ミディ・ピレネー地方に住む日本人女性、みのりさんからのメール。中学時代の同級生、朝隈俊男さんの作品展をパリで開けないか、と相談されたのだ。
 朝隈俊男、動物をモチーフにした造形作家。実は、当時、フランスで日本のアニメが大人気と知った人に、キャラクターのフィギュアに興味があれば、制作会社を紹介するからフランスでの販売を考えてみれば?と言われたところだった。ちょうど、リーマンショック後の、仕事がみるみる減っていた頃である。気をそそられたが、結局、その話は流れてしまった。動物・・かぁ、とみのりさん所有の朝隈作品(そう、彼女自身が朝隈作品のコレクター)の写真が添付されていたので、開いて見て、「ちょっと、いいじゃん」と気に入ったのだが、人形と言えば、ビスクドールなんかが好きな私は、まさか自分が、その後、朝隈さんの展示会をパリで開くことになるとは夢にも思わなかった。

 年が明けて、2010年1月に書道家・和小物クリエーターの江口香織さんと運命の出会いをして(本当は、男性としたいところだけど)、なぜか、朝隈さんの動物たちとイメージがクロスする(と言っても江口さんが動物に似ているわけではない)。しかし、当時、公務員だった江口さんが、ブランド“和香”を立ち上げ、展示会で朝隈さんとコラボするなんて、その時の私にどうして想像できようか?(だんだんドラマ調になって来たぞ!)。

 私の本業はライター、モノ書きである。日本では映像ディレクターなんぞもやっていた。もちろん、フランスに来てからは、食べて行くために翻訳、アテンド通訳などなど、何でも引き受けている。ライターのギャラは下がる一方で、収入は当然、減って行き、二年前には日本語教師まで始めた。フランス人ビジネスマンに個人教授(ちょっとあやしい響き?)をしたが、これが面白くて、一時は養成講座にでも通って、本格的に日本語教師になる勉強をしようかとまじめに考えた。しかし、これは60才過ぎてからでも、やれる仕事かな、と思った。というのは、大学の先輩で、元スッチーだった方が、エールフランスを定年退職した後、日本語教師養成講座に通い始めたと聞いていたので。

その後、海外に住む日本人ライターの集団“海外在住メディア広場”のメンバーがパリに遊びに来た時に、彼女、すでに本を数冊出しているにもかかわらず、「ライターだけじゃ食べて行くのがたいへんだから、占い師養成講座に通い始めた」などと言う。そういえば、私も中学生の頃、タロット占いをやっていたよなぁ、と思い出し、その後、パリ、東京で、占い師に見てもらうたびに、「私、タロット占い師になりたいんですけど・・」。すると、みんな私の手相を見ながら、あるいは、誕生日を確認しながら、口をそろえて「あなた、向いてるわよ」!!その後、友人たちを無料で占ったりして、楽しかったのだが、これも、今やるべきことではない気がした。そう、まだ気力・体力の残っている、今しかできないこと、って・・。

 と、気がついたら、展示会企画なんぞに手を出し始めたのである。 アートの専門教育なんぞ受けたことがないが、6年くらい前から、なぜかアート関連の仕事が舞い込むようになった。美術雑誌に『パリの美術館』という連載をもって、パリのいくつもの有名美術館の館長にインタビューに行ったり。フランス人アーティストの作品を日本に紹介したり、日本人アーティストの画集を、パリの美術館のショップに置いてもらう交渉をしたり、翻訳も美術評論が中心である。
そうこうして、“アート”に触れるうちに、自分は美的センスのない人間と思い込んでいたのが、実は私って審美眼があるかも、と気付き(思い込みの方向が180度変わっただけ?)、分析・批評するのではなく直感で“美しく、惹きつけるもの”を選び、それを多くの人に見てもらう、という仕事に面白みを見出したのだ。まあ、仕事と言っても去年企画したものは利益ナシだったけど。(これから、これから!)

そして、去年の春に、日本に帰った時、朝隈さんのエージェントからサンプルとしていただいた、ベンチに寝そべるバセット・ハウンドくんをパソコン横のスピーカーの上に飾り、それを毎日、眺めているうちに(バセット君も私を眺めている)、パリで朝隈展を開こうぞ!という気分が高まって来たのである。

寝そべりくん

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江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター。立教大学仏文科卒。映画理論を学ぶために96年に渡仏し、パリ第一大学映画学科に登録。PRESSE FEMININE JAPONAISEを設立し、99年にパリ発情報誌『ビズ』を創刊。現在、日本の雑誌やWebにフランスの情報記事、コラムなどを寄稿しながら、日仏バイリンガルサイト『ビズ・ジャポン』の編集長を務める。著書は芝山由美のペンネームで『夢は待ってくれるー女32才厄年 フランスに渡る』。

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