萩尾望都がパリに来た!

ポンピドーセンターで、日本のマンガをテーマにしたイベントをやる、と聞いたので、サイトを覗き、プレス用資料をチェックしていると、そこにMoto Hagioの名前が!え、萩尾望都がパリに来る?
 こう見えても(?)私は、40年近く、モー様のファンである。初めて読んだ作品は『小夜の縫うゆかた』。別冊少女コミックは小学生から定期購読していたので、『ポーの一族』、『11人いる』もリアルタイムで読んでいるのだ。ちなみに一番好きな作品は『ゴールデン・ライラック』。カレーから戻って来たビリーを、スティーブンス男爵が訪ねる名場面は、何度読み返しても、感動モノ。『訪問者』のバーでの、グスタフとバッハマン刑事の会話に匹敵する“男二人の会話”の名シーンだ(勝手にランキング)。

 ポンピドーのイベントをビズ・ジャポンで案内したい旨をプレス担当者にメールし、「萩尾望都、来るんですか?大ファンなんですけど」と尋ねると、「講演会があるよ」と返事が。モー様を拝顔できる!とはしゃいでいると、日本人女性の知り合いから、「ポンピドーで講演会の前に萩尾先生のティーンエイジャー向けワークショップがあるから、ビズで宣伝してほしい」とメールが。何と、彼女、今回、モー様来仏のコーディネートをしていたのだ。え~、ワークショップ行っていい?サイン頼んでいい?プレゼントお渡しできるかしら?と矢継ぎ早に質問したら、戻って来たメールが「落ち着いてください」。年甲斐もなく、興奮していたわね、確かに。
 そうだ、パリのワークショップと講演会の様子を読者に伝えるのがジャーナリストの使命じゃないか、と落ち着いて取材を申し込む(単に取材にかこつけてモー様とお会いしたいだけだった、かも)。
 
 ワークショップには、ビズの少女漫画担当のさなえさんを誘う。中学生の娘さんもワークショップに参加することになり、我らは付き添いのふりをすれば、追い出されずに済みそうである。
さて、14時にポンピドーセンター地下にあるワークショップ会場に着くと、そこにはかつて、雑誌のインタビュー記事や、『笑っていいとも!』のテレフォン・ショッキングで拝見したのと同じ顔の(当り前だ)モー様が!思ったより小柄であった。
会場には、私たち以外にも、明らかにティーンではない、ファンらしい日本人女性が、ちらほら。一人、20代なのに萩尾望都、竹宮恵子、大島弓子が好き、という渋好みの人がいて、講演会が始まるまで、一緒にポンピドー内のカフェでお茶をする。

講演会は、代表作のあらすじ説明から。というのも、信じられないことにフランスではモー様の作品が翻訳されていないのである、一作も!私は、渡仏した96年から、機会あるごとに萩尾作品をフランスで出版せよ!と主張している、って単に日本人のモー様ファンを見つけては、「モー様作品の翻訳版も出さないで、芸術の国とは、聞いてあきれるぜ!」と意気投合しているだけ。いや、それだけじゃない、一度、ジャパンエキスポで、出展していた小さな出版社の社長さん(日本語が達者だった)に、「萩尾作品、出しません?」と提案したところ、「ハギオモト、ムズカシイネ」。・・フランス人のおつむには難しい、ってこと?

翌日の取材は、“Anime land”誌の編集長と、もう一人、学生さんっぽい(とても若い)どこかのサイトの編集者と私の3人。なんと、モー様は、また3月にパリ15区で行われるサロン・デュ・リーブル(本の見本市)にも招待されていて、震災後のフクシマを舞台にした短編『なのはな』を収録した単行本『なのはな』を会場で販売するという(もちろん、買いに行きます!)。さらに驚いたことに、今年のジャパンエキスポには自らブースを借りて、そこで、自作(どの作品かはこうご期待)に仏語訳を付けた、自費出版本を販売するというのだ。しかし、自費出版、って、だって、天下の萩尾望都だよ。本来ならフランスの出版社が頭下げて、うちから翻訳本を出させてください、って頼みに来るべきじゃないの?とファンなら誰でも驚くはず。だが、そんじょそこらの有名漫画家(ってへんな表現?)なら、プライドが邪魔して、自費出版なんてできないだろうに、それをさらっと、してしまうのは、まさに超一流漫画家にしかできない偉業である(ファンは盲目)。
 
 インタビューの最後に、持参した『ゴールデン・ライラック』にサインしていただき、その後、一緒に写真をとってもらった。このブログに掲載されるべきその写真が、うちに帰って、パソコンで見てみると、なんとピンボケ。あほな私は、カメラを発光禁止モードにしていたのであった。私の人生なんてこんなものさ、とクサるが、そうだ、今年はパリでまだ、二回もモー様にお目にかかるチャンスがあるのだ(なんていい年!)。また、一緒に写真を撮っていただける可能性もあるさ、と気を取り直す。

このブログの読者のために、最後にとっておきのインタビュー秘話を。モー様は、私と同じくアラン・ドロンのファンで、「フランスには、ドロンみたいなハンサムがたくさんいると信じていたので、ちょっとがっかり」とおっしゃった。これって、私が常々言っていることじゃない。そう、去年の大晦日のパーティでも思わず、3人のフランス人男性(夫を含む)を前にして、つい口から出た台詞だ、シャンペンとワインの酔いも手伝って。私とモー様って同じ感性を持っているのよ!と人に自慢して歩きたい気分である。

モー様のサイン
(ツーショット写真の代わりに、いただいたサインを披露)
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Re: No title

> 初めまして。
> C'est moiから こちらのサイトへ参りました。
> 萩尾望都さん!!懐かしい(すみません)名前を見つけて
> 嬉しくて、コメント書いています。
>
> むかし「トーマの心臓」だけですが、読んだことがあります。
> 物語の空気が好きで、いまだに忘れられません。
>
> 講演会&お会いになられたのですね。
> いいなぁ。

こんにちは。セモアはぜんぜんアクセスしてませんが、そうか、こちらのブログのタイトルが出るのですよね。
「トーマの心臓」は名作。何度も読み返しています。いまだに。

江草

No title

江草さん・・お久しぶりです。
マダムシルクのサイトを見ているうちになんと!こちらに辿り着いてしまいました。とても驚いています。
お元気そうで嬉しいです。
フランスにいかれて,結婚されたことはシルクのさっちゃんからは伺っていたのですが。
編集長されてるなんて凄いです!
あ、私は現在大学生娘と高校生息子の母してます。
いつかまたシルクで昔話できるといいですね^^v

萩尾望都・竹宮恵子の講演動画あり

江草さま
 フランス国内にて「日本文化紹介活動に挺身されている」との由、お疲れ様です。最近のブログ記事では、文化紹介イベントにて精神的にも大いに消耗する事態に遭遇、失望されているそうですが、
 遠路はるばる、フランスくんだりまで出かけて講演に及んだ萩尾氏や竹宮氏の労苦を思えば、些事でありましょう。そう云う種類の人々との付き合いは、割り切って事務的に片付ける様にすれば、厭な目に遭う可能性も減らせるでしょうに-----。

 その萩尾・竹宮講演会の模様ですが、フランス語圏の動画共有サイトに講演全体が上梓掲載されております。投稿掲載者は、その行事を主催したフランスのポンピドー・センターですから、好い加減な海賊動画の類ではありません。
 フランス政府が、国家行事として遂行した国際文化交流の模様を、対外的に広報するチャンネルとして、そのサイト"Daily Motion" を主催者自らが積極的に活用しているのでしょう。私的なブログの投稿欄にて第三者が公表しても、多分、現在の公開体制に影響は及ぼさないと判断して、此処に連絡差し上げる次第です。

 暫く様子を眺めて居りましたが、このブログの管理者である江草さんも講演動画の公開を御存知ない模様なので、横槍にて恐縮ですが、江草さんも含め、萩尾・竹宮漫画の全ての愛好者の為にも、以下のサイトを此処に、勝手に案内差し上げます。
 猶、URLの投稿表記が、このサイトでは禁止される場合に備え、

1) 動画の検索要素のみの表記と、
2) URLそのものの表記、との

2方法に分けて紹介差し上げます。ご関心有りましたら、自己責任にて訪問なさってみて下さい。

1) 萩尾望都客員教授・内山博子教授による講演動画(非常に充実!)掲載サイトの検索要素

[Conference de Moto Hagio - Planete Manga! du 11 fevrier au 27 mai 2012, centre pompidou, Daily Motion]

 次が、竹宮恵子氏が行った講演動画サイトの検索要素です。

[Conference de Keiko Takemiya - Planete Manga! du 11 fevrier au 27 mai 2012, centrepompidou, Daily Motion]

 猶、私のメールソフトは安物なので、フランス語に特有の文法記号( アクサン・テギューなど)が表記不能です。御了解下さい。


2) 萩尾望都客員教授・内山博子教授による講演動画(非常に充実!)掲載サイトのURL

http://www.dailymotion.com/video/xpq14v_conference-de-moto-hagio-planete-manga-du-11-fevrier-au-27-mai-2012_creation

 次に、竹宮恵子氏が行った講演動画のURLです。

http://www.dailymotion.com/video/xpq1d1_conference-de-keiko-takemiya-planete-manga-du-11-fevrier-au-27-mai-2012_creation

 何れも、日本国内の講演会では中々に聞けないであろう、充実した内容で、見ごたえがあります。周囲の愛好家諸氏の中に、この公開動画の存在を御存知ない御仁が居ましたら、宣伝なさってみて下さい。お元気で。

Re: 萩尾望都・竹宮恵子の講演動画あり

Yozakuraさま

こんにちは。
貴重な情報をありがとうございました。
萩尾先生や、パリの萩尾先生のサイトを作っている高橋さんはもちろん、ご存じなんですよね?
日曜日に、ジャパンエキスポでブースをお訪ねする予定です。

江草

動画サイトの存在は御存知なかったのですね?

江草さま
 お早う御座います。昨日早朝の投稿を拝見しました。返信、有難う御座います。

> 萩尾先生や、-----高橋さんはもちろん、ご存じなんですよね?

 私は、「萩尾先生」や「高橋さん」とは何ら面識もなく、従って、この公開動画の存在を彼等、或いは彼女等が「御存知か否か」に就いては、全く関知しておりません。

 ただ、ネット上に公開動画の掲示を発見したので、機をみて連絡差し上げただけです。少なくとも、お役には立った模様で、何よりです。
 猶、この萩尾講演動画ですが、本家の DailyMotion の他にも、日本の動画共有サイトに掲示されて居ます。面白いのは、そちらの転載サイトの方が、画質が良好なんです。

 日曜日には、展示ブースを訪問されるとの由、お時間有りましたら、公開動画の存在認否を萩尾氏に確認なさってみて下さい。お元気で。

 

Re: 動画サイトの存在は御存知なかったのですね?


Yozakuraさま

昨日、ジャパンエキスポ会場で確認したところ、萩尾先生は、動画サイトのことをご存知でした。
高橋さんとは、フランス語で萩尾先生のサイトを作っている方です。

以上、よろしくお願いします。

江草

No title

江草さま
 お手紙を拝見しました。返信、有難う御座います。

 萩尾氏ご本人と面談して確認が取れたとの由、何よりです。いくら主催者が正式に公開したものとは云え、出演者ご本人が知らないのであれば、これは味消しです。
 で、そのジャパン・エキスポですが、先週7月6日金曜日の日本経済新聞夕刊にも、写真入りで報道されていました。今回は、日本からも著名な創作家多数が出展・出品したそうで、また、フランスの何処ぞのサイトで特集記事が上梓掲載されることでしょう。

 猶、お時間ありましたら、「高橋さん」のサイトの住所をこちらの投稿欄などでご紹介頂ければ幸いです。

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プロフィール

江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター。立教大学仏文科卒。映画理論を学ぶために96年に渡仏し、パリ第一大学映画学科に登録。PRESSE FEMININE JAPONAISEを設立し、99年にパリ発情報誌『ビズ』を創刊。現在、日本の雑誌やWebにフランスの情報記事、コラムなどを寄稿しながら、日仏バイリンガルサイト『ビズ・ジャポン』の編集長を務める。著書は芝山由美のペンネームで『夢は待ってくれるー女32才厄年 フランスに渡る』。

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