アクリマタッション公園“春祭り”内輪話、ほぼ日記 その1

久しぶりのブログ。
4月7日から5月8日にかけて、ブーローニュの森にあるアクリマタッション公園で、日本文化を紹介するイベント、“春祭り”が行われ、ビズ・ジャポンも参加した。ナポレオン3世が造園を計画し、1860年にオープンした歴史ある公園で、落成式には、作曲家ジャック・オッフェンバッハや・作家プロスペル・メリメが参加したという。最近では、<オバマ大統領がパリ訪問の際に、娘たちがここで遊びたいと自ら選んで、来園した>と同園のサイトに(自慢げに)記されている、セレブな公園だ。
アクリマタッション公園では、毎年、イースター休暇に合わせて一つの国をテーマにその国の文化を紹介するイベントを行っている。特設ステージでダンス、音楽などの各国の伝統芸能を披露し、屋外ブースで民芸品、特産品を販売するという趣旨で、今年は日本が選ばれたというわけだ。

去年の11月にこの企画を知り、問い合わせたところ、ブース出展料がなんとタダ! 慌てて1ブースを期間中通して、つまり5週分(最終週は4日のみ)予約する。
それで、ビズの会員にブースを自由に使ってもらうことにして、サイトを使った出展の宣伝はもちろん、必要な情報(イベント自体はもとより、会場近くのホテル、その近辺の治安などなど)を提供する、渡仏できないアーティストの販売代行や通訳手配などはオプションで引き受ける、テーマは毎週変える、と大枠のアイデアを決める。スポンサーのJALが、日本からの出展者向けに格安チケットを提供することも分かり、これを機会にビズ・ジャポンの会員を増やすのだ!と張り切る。
出展料無料と格安チケットの効果もあり、出展者はすぐに決まる。1、2週目はそれぞれコーディネーターさんに任せることになり(出展者はビズ会員になることが条件)、3週目は、去年のジャパンエキスポでお会いしたフェイクスイーツ界で有名なアーティストに連絡したところ、本人は来られないけど、お弟子さんが二人渡仏し、他のお弟子さんたちの作品も送ってくれることに。4週目はビズ会員の浮世絵の版元、瞬浮世屋を中心にした展示、5週目は書とパステル画を組み合わせたアーティストの個展、と内容もバラエティに富んで、なんだか楽しくなってきた。

ただ、私生活でちょっと困った問題が・・。夫が、イベントの開催期間にほぼ重なる時期に、日本に行くことになっていたのだ。4月末に、京都で剣道六段の審査を受けるので、その前に大津に住む有名な先生の元で2週間ほど強化合宿(近くのビジネスホテルから道場に通う)をする段取りで、息子の復活祭の学校休暇に合わせて私たちも一緒に行き、夫のために通訳をする予定だった。結局、夫は一人で日本に行くことになり、先生には<私の通訳がなくても先生の助言が理解できるように、と、毎晩日本語の猛勉強をしております>とメールし、夫には、そう先生に書いた手前、ちゃんと勉強しなさい、とはっぱをかける。
私にとって“困った問題”というのは、夫のいない間、息子の面倒を一人で見なければいけないこと。展示ブースは朝10時から夕方19時まで必ず開けておくこと、が参加条件になっているが、息子の学童保育のお迎えに間に合うためには会場を17時過ぎに出るか、代わりに迎えに行ってくれる人を探さなければならない。開催期間中の第2,3週目はイースター休暇で、この間は終日の学童保育に入れることにするが、お迎えに関しては同じ条件。さらに週末も子どもを一人家に置いておくわけにはいかない(フランスでは小学生の留守番は法律で禁止されているし)。
また、我が家は夫が夕食を作ることが多いが、これも毎晩自分でやらなければいけないし、当然、食糧買い出しもしなくてはならない。
イベントは、5週間ノンストップだし、一人で乗り切れるだろうか、ああ、夫が息子を連れて日本に行ってくれればどんなに楽だろう、なんて都合のいいことを考えながら(実現不可)、準備を進める。

第1週目の女性コーディネーターIさんは、ビズ・ブース以外に、イデ・ジャポン(毎冬行われる展示会イデ・ジャポンの主催団体)のブースでも展示販売を行う予定で、10人を超えるアーティスト(作品だけ送ってくる人も含めて)を紹介するという。そのうち3人がビズ・ブースで展示することになっていたが、Iさんは何と一人で両ブースの全員分の通訳を、しかも英語のみでするつもりだったらしく、それを不満に思ったビズ・ブース出展予定のアーティストが一人、キャンセルした、とメールが来る。
えー、それなら通訳を雇えばいいじゃない!と言いたくなるが、予算の都合もあるんだろうな、と思っていると、しばらくして今度は、実は残りの二人も英語ができず、一日中自分たちの展示ブースに専用の通訳がついていないと困ると言われている、と“泣き”が入った様子のメールが来る。つまり、他の二人もキャンセルになるかもしれない、ってこと?
私はこの週、すでに他のアポも入っていて、そもそも子どものお迎えがあるから7時まではいられない。通訳料を払う気はなさそうなので、人を雇うわけにはいかないし。
と、お金がないなら頭を使え、で、ない知恵を絞ってみて・・、最近、彫刻家デビューをして、味のある作品を造っている在パリ日本人女性の宮野クンに、声をかけ、キャンセルしたアーティストの空いたスペース分に、作品を展示してもらい、代わり私が来られない時にブースにいて、他の二人のために通訳をしてくれ、とお願いしてみる。宮野クンは、引き受けてくれるも、開催初日から3日間はスキーに行く予定(土・日・祝日なので)、とのたまう。幸いその3日間は、夫がまだフランスにいて、息子の面倒を見てくれる。それに、人出も多いに違いないから、ブースにいて、展示販売の様子もちゃんと見たい、一応責任者だし・・。と、残りの4日間に来ることを了解してもらって契約成立!

○第一週目

この週の出展者は額縁アーティストの久志本さんと、服やバッグを手がけるファッションクリエーターの志甫さん。お二人とも50代のマダムで、宮野クンも私より少し年下なだけだから、日本人アダルト女性アーティスト週だ(ビズのサイト上では“アダルト”を省略)。
搬入日はいい天気だったが、初日から3日間は雨が降ったりやんだり。友人知人がたくさん来て(別にビズ・ブースをわざわざ訪ねたのではなく、偶然通りがかった人ばかり)で、中には「きゃー、何年ぶり~?」な人もいて、おしゃべりに花が咲く。アーティストさんたちも「あら、江草さんってお知り合いが多いのね」と寛容で、まじめに仕事せい!とは怒らず。この時は、ボランティア通訳だから大目に見てくれているのだと、思い込んでいた。
4日目火曜日は、平日で、しかも雨ふりで寒く、お客が来ず、狭いブースで、スキーから戻った宮野クンに引き継ぎしながら、結局アーティストさんたちと一緒におしゃべりして、けっこう楽しかったり。その日は、会員サービス(?)で、タロット占いをしてさしあげる(主催者ならではの気遣い。御礼に、とコーヒーをおごっていただいたが)。
5日目水曜は、息子が発達障害療育のため、精神医療センターに行く日なので、ずっと家にいる。掃除洗濯買い物をこなしたり、提出日のせまる税金書類を作成したり。ところがアホ夫から<剣道昇段審査に必要な書類をリヴィングのテーブルの上に置き忘れたので、至急郵送して>とメールがあり、いつ行っても窓口に列ができている郵便局に行くはめに。この1分も無駄にできない時期に、しかもあんた、パスポートの次に大事な書類を忘れるなんて、なんのための日本行きじゃ~!と怒りが沸騰する。
木曜は他のアポがあり、マレの方に出向き、なおかつ4週目の出展者が下見に来ると言ったので、結局、春祭り会場に寄り、金曜は第2週のコーディネーターさんが下見に来て、それから1週目の搬出にも立ち会ったので、夕方から出向くという、何のことはない、水曜をのぞき、毎日、通ったのであった。

ただでさえ、ハードな日々であったが、実はイベントが始まる少し前から不眠症にかかっていた。寝つきはいいのだけど、早朝に目が覚めて(3時とか4時とか)、そのまま眠れないのだ。人に話すとたいてい、「それ、更年期障害よ」と、片づけられた。アロマテラピー、足湯、ヨガもどきをしたり、夕食前にビールを飲んだり(これは不眠症にかかる前からの単なる習慣)、と色々試したが、効果なし。

天気が悪く、お客が少なかったが、志甫さんのブラウスやバッグ類はよく売れた。アクセサリー、バッグ、服の類は、気に入って、値段も手頃となれば「こういうの、一つ持っていてもいいな」って、気軽に買う気になるものだ。逆に久志本さん額縁は、残念ながらそれほど売れず。フランス人はインテリアへのこだわりも強い人が多いから、どの部屋に置いて、何を入れて、と考えると、そう簡単には決められないかも、というのが私の感想。さらに志甫さんは、大学の仏文科を卒業していて、フランス語が話せた。「もうすっかり忘れていて」と謙遜していたが、フランス人は、外国人からフランス語で話しかけられると非常に喜ぶ。ボンジュール、と声をかけられただけでもにこにこする。(私だって、フランス人が片言でも一生懸命、日本語で話しかけてくれるとうれしいもんね。)それで、さらに「この人の作品、買っちゃおうかな」という気持ちが増す、ということもありうる。

さて、ひょんなことから、コーディネーターのIさんがなんと、各アーティストさんから、ビズへの登録料の7倍の料金を取っていたことが発覚し、「その金額に主催者に払う出展料や江草さんへの通訳料も入っているんだと思っていました」と言われ、びっくら!出展料は無料だし、私はタダ働き・・、や、やられた・・。
今更、文句をつけても、「通訳料を払うなんて一言も言っていません」、と返されるのがオチだろう。泣き付かれた(と思い込んだ)時点でぴしゃりと断らなかった自分が悪い、と反省。
アーティストさんからは、「ボランティアだと知らず、偉そうに指図してすみませんでした」と侘びられるが、偉そうにされた覚えもないし、知り合いが来れば長々と世間話をし、雨で人が来なければ、アーティストさんたちとおしゃべりを楽しみ、他のブースをふらふら覗きに行ったりしていたので、まあ、タダ働き、ってほどでもなく、腹も立たなかった、少なくともアーティストさんに対しては。
宮野クンはIさんのFBをチェックし、「彼女、イベントの後、毎晩、私が1年に一度行けるかどうか、っていう高級レストラン(この表現、微妙)にアーティストを引き連れて、豪遊してたよ~」。
Iさんのことを不愉快に感じつつも、“パリで展示会参加&豪華ディナー、アートでグルメ、リッチなパリ滞在を演出します”って、アイデア商品かもしれない、なんて感心したのであった。

 そういえば、第1週目は、アクリマタッション公園に向かう路上で未使用のクリネックスのポケットティッシュを拾った。しかも、2日続けて(違う場所で、念のため)。天気が悪く、寒い中での野外展示で風をひかないように、と神様からの贈り物か?とありがたく使わせてもらった。息子には道に落ちている物を拾うな、と言い聞かせているんだけど。

アクリマ第一週
<第一週目のビズ・ブースの様子>
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旦那さん、日本語で大変だ。

フランス人はフランス語で話しかけられると喜ぶか?

今、iphoneにsirieという人の言葉を理解するソフト
があって、実はそれでどのくらい自分のフランス語が通じるかやっています。

No title

ushizakaさん、こんにちは。
へー、そのソフト、おもしろそうですね。ちょっと怖い気もするけど。

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プロフィール

江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター。立教大学仏文科卒。映画理論を学ぶために96年に渡仏し、パリ第一大学映画学科に登録。PRESSE FEMININE JAPONAISEを設立し、99年にパリ発情報誌『ビズ』を創刊。現在、日本の雑誌やWebにフランスの情報記事、コラムなどを寄稿しながら、日仏バイリンガルサイト『ビズ・ジャポン』の編集長を務める。著書は芝山由美のペンネームで『夢は待ってくれるー女32才厄年 フランスに渡る』。

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