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アクリマタッション公園“春祭り”内輪話、ほぼ日記 その2

第2週目は、日本キャンドルハンドクラフト協会のメンバー4人と日本和紙造形研究所のメンバー17人の作品を展示する。コーディネーターは、アートとエコロジーのイベント・プロデューサーで、美術評論家でもある横澤悦孝氏。数年前、横澤氏が美術雑誌の取材で、パリの美術館、プチ・パレとパレ・ド・トーキョーの館長ーにインタビューした時に同行通訳をしたのがきっかけで、以後、横澤氏がパリでエコキャンドル・ワークショップを開催するのを手伝ったり、日本の展示会にフランス人アーティストの作品を出展する時のサポートをしたりで、細々とお付き合いが続いている。

Iさんの件があったので、横澤氏が来仏する前に、ブースは毎日7時まで開けておかなければならないこと、私は息子のお迎えもあり、会場にずっといるのは不可能なこと、を念押しするメールを送ったところ、「大丈夫です。毎日一人で後かたづけをします」との返事が来た。
その言葉通り、横澤氏は一人で毎日ブースの開け閉めをして、毎日のように作品の配置を変えたり、ほこりがかからないように、キャンドル作品にセロファンをかけたり、お客には作品解説をきちんとして・・、ともくもくと働いていた。おかげで、この週、私は他のブースを色々と見て歩き、出展者とおしゃべりをし、また、税金の書類も無事、税務署に届けることができた。

横澤氏
(和紙造形作品の解説をする、横澤氏)

Iさんのことが引っ掛かっていたので、2週目の展示が始まって二日目の日曜日、横澤氏に各アーティストからコーディネート料金をいくら払ってもらっているのかを率直に聞いたところ、な、なんとIさんの10分の1の額!確かにIさんに比べ、アーティストの数は多いが、「それで、利益が上がります?」と尋ねると、「ボク、宿は4人部屋のドミトリーに泊まっているし、飯は1日1回しか食べないし。ドミトリーにキッチンがあるから、スパゲティ買ってきて、ゆででこれをかけて食べてるんです」と見せてくれたのは、S&Bの“まぜるだけのスパゲティソース”であった。一流レストランに通うIさんと実に対照的。しかし、パリまで来て、S&Bのスパゲティソースなんて・・、と気の毒に思っていると、いつもベジタルヘアカラーをしてもらっている、モンパルナスの美容室NAOKOのなおこさんが、遊びに来て、おにぎりを差し入れてくれた。私は持参したお弁当を食べ終わったところだったので、不憫な横澤氏にあげると、とてもうれしそうにお食べになる。(ちなみに、なおこさんは次の日曜も「今度はちゃんと江草さんが食べてね」と再びおにぎりを作ってきてくれたが、またもやお弁当を食べた後だったので、それは夕食にいただいた)。翌月曜日は、私も一日会場にいたので、お弁当を多めに作り、横澤氏に分けてあげた。また、横澤氏は子ども向けの廃食油を使ったエコキャンドル作りのワークショップを行ったが、その通訳バイトをした宮野クンも、「パリで日本のスパゲティソースなんてかわいそうで・・」とお弁当を作ってあげていた。他の日も横澤氏は「アーティストさんから食事をごちそうになった」とうれしそうに言っていたが、その人にもS&Bのスパゲティソースを見せたに違いない・・なるほど、これは一つの“手”かも。
まあ、経費節約の“手”が何であれ、それでコーディネート料金が低く抑えられるなら、アーティストの人は喜ぶだろう(悪いことしてるわけじゃないしさ)。しかし、横澤氏は大阪芸大を出ていて(中退だったか?)、アート分野の知識、経験ともIさんよりずっと豊富なはずだが、その10倍の金額を払ってまでIさんにコーディネートを頼むアーティストさんたちというのは一体・・?

IさんのFaceBookをチェックしていた横澤氏は、「Iさんは、いいことしか書かないんですよ。彼女にコーディネートを頼めば、フランス人が作品をじゃんじゃん買ってくれて、その利益でパリのレストランでおいしいものが食べられる、というストーリーを写真を使って、巧みに作っています」と感心した様子だ。「実際は、売れない、ってぼやいてたもん。でもそんなこと間違っても書かないよね」と宮野クン。なるほど、パリでアーティスト△△さんの作品が売れました!とIさんがFBにUPすれば、△△さんもそれを“シェア”する。それを“友達”のアーティスト仲間が見て、Iさんにコーディネートを頼もうかしら、って気になる、という流れか。でも、私だって、このイベントに合わせて、BisouJaponのFBを立ち上げ、同じようなことをやってるつもりだけど。横澤氏いわく、「江草さん、あなたはFBに“今日は雨で客がほとんど来なかった”なんてネガティブなこと書いてたでしょ。ありゃ、ダメですよ」・・確かに、誰も“いいね”ボタンは押してくれないわな。と、会話に参加していた隣のブースのTさんが、「まあ、江草さんはジャーナリストだから・・」とかばって(?)くれた。

さて、日本の各地から、時にはヨーロッパの他の都市からたくさんの日本人が参加しているこのイベント。期間が長いので、出展者の入れ替わりも多かったが、2週目は特に個性的なメンツが多かった気がする。ベルギーから来た元東京バレエ団のダンサーだったというコーシくん(コーディネーターだったのか?結局このイヴェントで何をしているか、分からずじまいだったが)、それから秋田から来た曲げわっぱ職人の柴田慶信おじいちゃんは、「人生、すんぷる(←シンプル)が一番!」と、秋田弁がかわいい。

柴田のおじいちゃんは、単独渡仏で、人も雇わず。で、高価な曲げわっぱ製品を展示したまま、しょっちゅう、トイレだ、買い物だ、ごはんだといなくなってしまうので、見かねた周りの出展者が、おじいちゃんの帰りを待ちながら、ブースで留守番をすることが多かった。私もたまたまトイレに行く途中、空のブースに気付いて、しばらく、番をしてあげたし。また、おじいちゃんは通訳が必要な時は仏語ができる日本人を見つけては「ちょっと、ちょっと」と手招きする。4つ離れたうちのブースに助けを求めに来たことも何度かあったし。これも一つの経費節約の“手”だな。
また、柴田のおじいちゃんは、“世界の曲げ物小さな展示館”なるものを運営しているそうで、パリでも蚤の市や骨董屋に曲げ物を探しに行くのだが、春祭り会場で、通訳をリクルートし、「明日の午前中は、“腹いた”で、店は開けない」と予告(?)をしておく。まあ、そんな仮病を使わずとも、このおじいちゃんが時間どおりブースを開けなくても、誰も文句をつけそうにない。

柴田じいちゃん
(柴田のおじいちゃんと骨董市で見つけたという19世紀フランスの桶)

ある日、柴田じいちゃんは、お隣青森県出身の宮野クン(女性です、念のため)に、泊まっているホテルへ帰る道が分からなくなったので連れていってほしい、と甘えたことを言ったので、「ホテルの部屋に誘うつもりじゃないの」と私がからかうと、むっとして「あんた、いやらしいこと言うね!」。「だって、この前、『わす、まだ子ども作れる』って自慢してたじゃん」、と言い返すと、「それは、そういう“気構え”だってことだ」と怒鳴られてしまった。

 さて、こういうイベントに参加すると、つい買い物をしてしまう。出展者割引なるものがあって、出展者には少し値段を下げてくれることがあるし、また、日本から来た人は商品を持って帰るのが面倒で、最終日に値下げをすることも多いので。
 柴田のおじいちゃんの白木の弁当箱が、とても素敵だったので、買おうか、と思ったが、割引をしてくれなかった。“気構え”事件が尾をひいているのか、としゃもじしか買わなかったにもかかわらず、箸をおまけにつけてくれた。感謝。
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プロフィール

江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター・コーディネーター。
96年に渡仏し、99年から10年間パリ発日本語情報誌『Bisouビズ』の編集長を務め、同時に日本の雑誌やWebに情報記事、コラムなどを寄稿。
2010年に日仏バイリンガルサイト『BisouJaponビズ・ジャポン』を立ち上げ、ジャパン・エキスポなどパリで行われる見本市で、日本企業や日本人クリエーターの出展をプロデュース、展示会の企画コーディネートの仕事を始める。
2018年に22年間のパリ滞在にピリオドを打ち、日本に帰国。

『BisouFranceビズ・フランス』
https://www.bisoufrance.com/

個人ブログ『湘南二宮時々パリ』
http://ninomiyaparis.blog.fc2.com/

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