息子と二人での帰省

この夏は、息子と二人だけで、2週間ほど日本に帰省した。
夫がいないと気楽であるが(一緒に日本に帰ると、わたしゃ、あんたの通訳か!と怒鳴りたくなること数知れず)、仕事の打ち合わせや飲み会に行く時には、夫が子どもを見てくれたので、その点はありがたかった。

この夏はFBでグループが立ちあがった高校の同級生たちとの熱海お泊まり同窓会に始まり、このブログを見てコンタクトしてくれた大学時代に仲良くしていた文学サークルの後輩と当時、よくたむろっていた、池袋のカフェ、マダムシルクで会う約束をしたり、大学のフランス文学科のメンバーや仕事のつながりから始まりお付き合いしている方たちとのランチ会、友人との夕食・・、と気がついたら楽しい予定がつまってきて、さらに仕事の打ち合わせも入る。ただ、どこに行くにも息子を同伴しなければならないので、それが心配のタネであった。

 息子は発達障害児なので、それを知らない人に会う時は前もって、あるいは会ってすぐに、その旨をはっきり伝えておく。そうしないと、息子の振る舞いや言動に、驚かれることも少なくないので、まあ、心の準備をしてもらう、というわけだが。
幸いなことに、日本でもNHKがテレビで発達障害の特集を組んだり、また、有名作家が自ら発達障害であることをカミングアウトしたなんて話も聞く。どうやら、少しづつ、この分かりにくい障害に対する認識・理解も高まっているようだ。また、「実はうちの姪も自閉症で・・」とか、「友人の子どもがアスペルガーらしくて・・」なんて打ち明けられることもたまにあって、そんな時は少しほっとする。

さて、今回、10年以上音信不通だった、幼なじみのロック・ドラマー小玉建くんと会うことに。幼なじみというよりは、母親同士が大学生の時に同じ家に下宿していたという、“生まれる前からの友達(?)”なのだ。FBでコンタクトがとれ、「久しぶりに建ちゃんのドラムが聞きたいです」と書いたら、定期的に出演しているライブハウスで、私の帰国日程に合わせてライブをしてくれることに。息子のことを話すと、連れて来てOK、と言ってくれる。
 ライブハウス!ということで帰国時に会いましょう、と約束していたジャズシンガーのTさん、彼女のパリ公演に同行したライターのNさん、そのNさんを紹介してくれた海外在住メディア広場のメンバーCさん、同じくメンバーでフィンランドから帰省中のKさんを誘う。Cさんは軽音楽部でボーカルをしている高校生の娘さんを連れて来る。Kさんは二人の男の子を連れて来るが、うちの息子より一つ年下の長男くんが発達障害の疑いあり、らしく、前々から会いたいと思っていたので、それが実現して、喜んでいたのだが・・。
演奏が始まると、それまで楽しそうにごはんを食べていた子どもたちが、一番奥の席に移動し、3人とも両手で耳をふせぐ。うちの子にいたっては、舞台に向かって「やめたまえ~、やめたまえ~」と叫び続ける始末。
発達障害者は音に敏感なのだ。ああ、また自分の都合で、障害のある息子を彼にとって負担のかかる場所に連れて来て、さらに人様の子どもまで巻き込み、周りの人にも迷惑をかけてしまった、と自己嫌悪に陥る。・・、と言いながら、聞かざるトリオの様子があまりにもかわいらしくて、思わず写真に撮ってしまったが。

演奏が終わり、歓談タイム(って言うの?)になり、これで、子どもたちも落ち着くだろう、と思っていたら、な、なんと、聞かざるトリオは舞台に向かう。そして、「ピアノは女の子のものだ」と言って、我が家のエレピを触ろうともしなかった息子が、いきなりグランドピアノを弾き始める、というより、両手で叩き始める、むちゃくちゃだが実にうれしそうな様子で。それから3人で、ギター、ドラム、ピアノ、ボーカルを順番に交代しながら、演奏、というか、音を出し始めたのだ。

けんピアノ

聞かざるトリオ

我が息子がマイクを握った時は、何を歌うのか、とドキドキしたが、ただ「ド~レ~ミ~ファ~ソ~ラ~シ~ド~」と恥ずかしげに、叫んだだけ。それでも、本当に楽しかったらしく、ミュージシャンたちが舞台に戻っても、なかなかそこから離れず、引っ張って来なければならないほどだった。
Kさんは、この日、私たちと同じホテルに一泊したので、聞かざるトリオは、生演奏体験の余韻も残っていたのか、少し興奮気味で、追っかけっこなどしながら、ホテルに着くまで、楽しそうにじゃれあっていた。

息子は他人とうまく会話することができず、友達が一人もいない。ただ、この日、言葉だけではなく、音楽で人とコミュニケーションできるということに、気付いてくれたかも。
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最近ほんとよくテレビやら新聞やらで発達障害のこと目にするね。
今思えば、クラスにも普通いた気がするけど、診断がつくようになったのかしら。
江草さん活動的だから、いろんな経験ができて息子くん幸せね。
3人ともさまになってるじゃん、軽くジャズやってます、って感じ(笑)

No title

ひのさん、

私なんて、発達障害について色々と調べているうちに、だんだん自分自身が発達障害じゃないか、って疑い始めたのよね。それこそ、私たちが子どもの頃は、発達障害なんて概念は全然浸透してなくてさ、単なる変わり者扱いだったけど。

No title

あ、けんちゃんがドラムを!
学生時代、江草さんに遠藤ミチロウのドラマーオーデションの見学に連れて行ってもらいましたっけ。
大塚のスタジオだったかな。
マダムシルクと文研での江草さんしか知らなかった私には、
ドラムをカッコよく叩く江草さんて新鮮でしたー。
ミチロウが、色白で小さい人だったのにもびっくり・・。
けんちゃんも、ドラムいけるんじゃ?

とりあえずはギターを

みわちゃん

剣ちゃん、2年前からギターを習っています。止めるって言ってたんだけど、とりあえずもう1年続けることに。ドラムはバンド組まないと上達しないと思うんだよね。

思えば、ビデオスターリンのオーディションが、私のドラマー人生の最盛期かも。

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プロフィール

江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター。立教大学仏文科卒。映画理論を学ぶために96年に渡仏し、パリ第一大学映画学科に登録。PRESSE FEMININE JAPONAISEを設立し、99年にパリ発情報誌『ビズ』を創刊。現在、日本の雑誌やWebにフランスの情報記事、コラムなどを寄稿しながら、日仏バイリンガルサイト『ビズ・ジャポン』の編集長を務める。著書は芝山由美のペンネームで『夢は待ってくれるー女32才厄年 フランスに渡る』。

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