水曜日の水泳教室

息子は、毎週水曜日の午前中、水泳教室に通っている。フランスの公立小学校は水曜が休みなので、子どもの習いごとが集中し、水泳教室は、9月の新学期、登録日初日に申し込みに行ったにも関わらず、キャンセル待ちと言われた。しかし、幸いにもすぐ席が空き、第一回目から通うことができた。

 息子は赤ん坊の頃から水が大好きで、お風呂に入れるとご機嫌になり、海に連れて行けば波に向かってよちよち歩いて行き、一度水に入るとなかなか出ようとしなかった。1~2歳でベイビースイミングに通ったが、浮き棒につかまり一人で楽しくぱしゃぱしゃと浮いていたし、滑り台も怖がらなかった。
ところが、3歳で、水泳クラブに入ったとたん、プールのへりにしがみついて動かなくなった。もちろん、水が怖いのではなく、コーチの指示に従って他の子どもたちと一緒に何かをやる、ということができないのである。これは学校でも同じで、今でも県の障害者センターから派遣される教育アシスタントが、週10時間授業中に付き添ってくれる。そうしないと算数や理科などの好きな科目以外は、授業を無視して、絵を描いたり、漫画を読んだりしてしまう。その絵の出来が素晴らしければ、将来、画家として成功した時に、子どもの頃のエピソードとしてネタになるかも、なんて(親バカな)希望も持てるが、ひいき目に見ても上手いとは言えない。毎朝、息子を学校に送る時(フランスでは小学校までは送り迎えが義務)、門の前で、「ちゃんと先生の言うことを聞いて、みんなと同じことをするのよ」と呪文のように言い聞かせ、息子は判で押したように「分かってる!」と答えるが、一向に改善されない。分かっているけれどできない、ということか。
 
 さて、水泳教室であるが、登録したのは、泳げない子ども向けのクラスなので、小さい子ばかりだろうと思っていたら、一人、息子と同じくらいの背丈で、しかも同じようにお腹が出ている女の子がいたので、ほっとする。
 最初の頃はビート板につかまって、ひたすらバタ足をさせられた。息子は、足を一生懸命動かしているのに前に進まず(膝が曲がり気味)、他の子たちに追い越される。はがゆく思うが、この子にとっては、コーチの言うことを聞き、他の子たちと同じことをしているだけで、すごいことなのだ、と思い直す。
 そのうち、ビート板を持つ手を右、左と変えながら、大きく腕を回すクロールの練習が始まる。息子は他の子どもに比べて、コーチに注意される回数が多い。肘がちゃんと伸びていなかったり、息継ぎで顔を真正面に上げたりで、言われてもなかなか直らない。しかし、叱られても癇癪を起さず、続けている、それだけで、すごいのだ、と自分に言い聞かせながら、その様子を眺める、私・・。
 まもなく、ビート板なしで、コースロープに時々つかまりながらも、クロールで泳ぎ始め、1月には、フォームは決してきれいではないが、クロールで25メートル泳げるように。9月には全く泳げなかった息子が・・、こんな風に目に見えて上達するなんて、毎週、車で送り迎えした甲斐があった(って、片道5分だし、夫が代わりに行くこともあるけど)。来年、中学に進学する前に泳げるようになって、一安心である。
 
そして、先週、息子はバタ足だけの背泳ぎで、25メートルを泳ぎきった。何を隠そう、私はこれができないし、例のお腹の大きい女の子も、へりにつかまりながら、ようやく進んでいた。その前日、学童保育に迎えに行った時、私の顔を見るなり、息子は突然、泣き出して、頭を机にがんがんと打ち付けた。指導員の話によると、他の男の子にからかわれ、その子に手を出したところ、叩き返されたらしい。言葉によるコミュニケーションがうまくとれず、それがトラブルの原因になるのだが、自分の手で頭を叩いたり、何かに打ちつけたりする癖はしばらく収まっていたのになぁ、と、ず~んと落ち込んだ。でも、このバタ足背泳ぎを見て、何だかポジティブな気持ちになった。子どもには一喜一憂させられる。
 その後、飛び込みの練習が始まる前に、子どもたちが水に足をつけながら、プールサイドに座っていたのだが、息子が隣にいた、たぶん2歳くらい年下の男の子と何か話をしている。お、会話できてる!と喜んでいたら、突然、その子の背中を押し、プールの中に落としたので、青くなる。ところが、その子は、梯子を上って水から出て来て、何事もなかったかのごとく、また、息子の隣に座ったので、ほっと胸をなでおろす。本当に、一喜一憂・・。

ちなみに、来年度から、公立小学校のカリキュラム変更で、水曜日の午前中も授業が行われるようになるらしい。となると、習いごとは水曜午後に集中し、水泳教室もますます入りにくくなるだろうな。

水泳教室
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江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター。立教大学仏文科卒。映画理論を学ぶために96年に渡仏し、パリ第一大学映画学科に登録。PRESSE FEMININE JAPONAISEを設立し、99年にパリ発情報誌『ビズ』を創刊。現在、日本の雑誌やWebにフランスの情報記事、コラムなどを寄稿しながら、日仏バイリンガルサイト『ビズ・ジャポン』の編集長を務める。著書は芝山由美のペンネームで『夢は待ってくれるー女32才厄年 フランスに渡る』。

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