クレール・ドニとフランソワ・オゾンの新作

 クレール・ドニの新作“Les Salauds”を観に行く。
テレラマ誌は酷評していたが、なんたって、監督がクレール・ドニで、主演がヴァンサン・ランドン(役者辞めるって宣言は、ウソだったのね)だ。ドニ組の常連、ミシェル・シュボールやグレゴワール・コラン(二人ともアク強!)が出ているのは、うれしいけど、キアラ・マストロヤンニってのが、嫌だ。男顔で(パパそっくりだからそう思えるのか?)、大根で、ちっとも美しいとは思えないが、なぜか美人という設定(?)が多い。(そう、個人的に好きじゃないんです)。しかし、クレール・ドニは、前作“White material”が、あまりにも凄い(としか言いようがない)映画だったので、やはり、“Les Salauds”も見ておこう、と上映館を調べるも、パリでは先週まで、というところがほとんどで、やっとバスティーユのMajestic Bastilleで、一日一回午前11時のみ上映しているのを見つける。

で、一言で言って、「なんじゃ~、こりゃ?」で、“ヴァンサン・ランドン踏んだり蹴ったり”な作品でした。こんな役ばっかりやらされるから、役者も辞めたくなる?

 それで、口直しじゃないけど、その後、今話題になっているオゾンの新作“Jeune et jolie”を観に行ったら、思いの他、いい作品だった。
主人公を演じる元モデルのマリン・ヴァットの美しさ、そして、高校生の売春というセンセーショナルなテーマばかりがクローズアップされ、先週、日本から遊びに来ていた友人も「アパルトマン(を借りていた)の近くで、早朝割引やってる映画館があるんだけど、朝から観るような作品じゃなさそうだし・・」と言っていたのだが・・。

 実際は、美しい南仏の海辺の別荘で、ヴァカンスを過ごすフランスの中流家族の平和で幸せそうなシーン(青空の下、テラスでみんなでランチをした後、各自、涼しい寝室に戻って昼寝タイム、という具合)から始まる。ヴァカンスが終わり、パリでの日常生活が再び始まるが、主人公の17歳の少女は、ひと夏の経験(?)をきっかけに出会い系サイトを通じて売春を始める。売春のシーンはもとより、その事実を知った母の動揺、それ以降の主人公や彼女を取り巻く人々の様子などもわりと淡々と描かれていた。弟のポジションがいまいち中途半端だったのが、残念。

 それで、この映画、何よりも、ラストシーンが素晴らしくて(ネタばれになるけど)、日本なら“特別出演”って扱いになるであろう、シャーロット・ランプリングと主人公が待ち合わせて語り合うシーンが、とてつもなく良いのだ。いい映画にはいい老人が登場する、と言ったのは蓮見重彦であったか?まさにこの数分間のランプリング(老人扱いしてごめんなさい、でも相変わらず美しいです)の登場によって、この映画は単なる“思春期少女とその家族”を描く映画で終わらずに済んだのだ。
日本でも間違いなく上映されるでしょう。佳作!
jeune et lolie
(“Jeune et jolie”)
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江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター。立教大学仏文科卒。映画理論を学ぶために96年に渡仏し、パリ第一大学映画学科に登録。PRESSE FEMININE JAPONAISEを設立し、99年にパリ発情報誌『ビズ』を創刊。現在、日本の雑誌やWebにフランスの情報記事、コラムなどを寄稿しながら、日仏バイリンガルサイト『ビズ・ジャポン』の編集長を務める。著書は芝山由美のペンネームで『夢は待ってくれるー女32才厄年 フランスに渡る』。

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