仏マスコミがなぜ、騒ぐ?オランド大統領の恋愛騒動

フランス大統領オランドが、芸能雑誌Closerに女優ジュエリー・ガイエとの浮気の証拠写真を掲載され、それをフランスの様々なメディアが取り上げて、話題になっている。
・・びっくらこいたな!
あんな甲斐性なしで顔もイマイチの男(まあ、腐っても大統領だけど)に恋するモノ好きな女優がいることに、ではない。
フランスのメディアが、夜8時のニュースまでもが、取り上げて、騒いでいることに、だ。

というのも、フランス人って、政治家の恋愛スキャンダルなんぞには関心がない、というか、政治家は国をしっかり治めていれば、愛人がいようが、隠し子がいようが知ったことではない、というスタンスの国民だと思っていたので。メディアも政性分離(って、なかなかオツな表現だな)の原則があって、政治家のプライベートをネタにするのは、ご法度だったのでは?
故ミッテラン大統領が、記者会見で、「隠し子がいますね?」と聞かれて、“Et alors?”(
エ・アロー? それが何か?の意味)と答えたことは、確か日本でも話題になって、小説のタイトルになり、ドラマ化されたし。こんなあほな質問をした記者は、当然、失笑を買ったらしい。
日本びいきで有名な元シラク大統領は、日本に愛人(当然、日本人女性)が二人いて、一人は九州在住で、シラクさんが大相撲九州場所をよく見に行っていたのは、愛人に会うついでだった、なんてことがまことしやかに囁かれていたし。
前大統領のサルコジは、間違いなく、前妻セシリアの離婚する前から現妻カーラ・ブルーニと付き合っていただろうな。
そういえば、アメリカの元大統領クリントンの、ホワイトハウス研修生との不倫スキャンダルが発覚した時も、意見を求められたフランスの女性大臣が、「政治とは関係ないプライベートの問題でしょう?」とさらりと言ってのけていた記憶が。

初代大統領(“英雄、色を好む”の)ナポレオンに始まって、フランス大統領に愛人がいるのは当たり前のことで、マスコミのネタなんぞにはならない。そんな話をしていたら、うちの夫が、「そういえば、ド・ゴールの愛人の話は聞いたことがないな」といぶかしげに言った。大統領に愛人がいない方がレアケース、というか変だ、と思っているのだろう、この国の人たちは。

ゆえに、何でオランドの恋愛だけが、スキャンダル扱いされるのか、分からない。
さほど有名ではない女優(知らなかったのは私だけ?ググったら、アニエス・ヴァルダやパトリス・ルコントの作品に出ておった。97年にロミー・シュナイダー賞も受賞しているし。単に私の目にとまらなかっただけか)のアパルトマンに、イタリア製スクーターで通っていた、っていうのは、しょぼくれオランドのイメージにはまって、おもしろいんだけどね。

また、騒ぎの渦中に今度は、オランドのパートナー(って、表現はあまり好きじゃないが)、ジャーナリストのバレリー・トリルベレールの入院騒ぎ。彼に愛人がいたことを知り、そのショックで入院、なんて噂が流れているけど、芸能誌が暴露するまで気付かなかった、って、ちょっと鈍いんじゃないの?しかも、それで倒れる、ってのもジャーナリストにしては随分、ヤワだし、そんなことでファーストレディが務まるのだろうか?そもそも、自分だって、オランドが元妻で元大統領候補のセゴレーヌ・ロワイヤルと一緒にいた頃から、オランドと恋仲だったわけだし。もっとも、セゴレーヌとオランドは、その時期は家庭内離婚状態だったらしい。籍は入っていなかったそうだから、事実婚で家庭内離婚、ってのもフランスならではの現象だな。

案の定、今週半ばに行われた世論調査によると、77%のフランス人が、これはオランドのプライベートの問題で、自分たちフランス国民にはなんら関係ない、という趣旨の回答をしたらしい。このスキャンダルがフランス大統領のイメージを変えることはない、ということだ。まあ、元々支持率のたいへん低い大統領なので、イメージダウンのしようがないけど。

結局、今回、なんでマスコミが騒いでいるのか、謎のままだが、ひょっとしたら、フランスの景気は回復せず、失業率が上がり、治安はますます悪くなる一方なのに、何ら有効な対策を立てもせず、女優といちゃついてるとは何ごとか!という戒めのつもり?

オランドスキャンダル
(これが、スクープした芸能誌)
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江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター。立教大学仏文科卒。映画理論を学ぶために96年に渡仏し、パリ第一大学映画学科に登録。PRESSE FEMININE JAPONAISEを設立し、99年にパリ発情報誌『ビズ』を創刊。現在、日本の雑誌やWebにフランスの情報記事、コラムなどを寄稿しながら、日仏バイリンガルサイト『ビズ・ジャポン』の編集長を務める。著書は芝山由美のペンネームで『夢は待ってくれるー女32才厄年 フランスに渡る』。

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