背中に粉瘤ができた

粉瘤と書いて“ふんりゅう”と読む。皮下に老廃物が溜まって大きくなる 瘤(こぶ)のことである。
4月半ばの日本帰国直前に、右の肩甲骨の少し下に薄べったい瘤みたいなものができているのに気が付いた。忙しい時期だったので、そのまま放っておき、日本では、恐いので、見ないようにしていた(顔でも浮き出ていたら、どうしよう、なんて。鏡に背中を映さなければ目に入らないし)。
フランスに戻る飛行機の中で、椅子の背の部分にあたると痛いなぁ、と思い、家に戻って見てみると、直径5センチちかい部分が赤く腫れあがっている。そのまま夫に見せると、「すぐ、医者に行け」。運よく、翌日にホームドクターの予約がとれた。ドクターのマダム・ボナンに見せると、「ウララ~」と驚きの声をあげられる。「小さな傷があるけど、虫にさされたの?」覚えがないが、どうやら、そこからバイ菌が入ったらしい。バッグを肩にかけると紐があたる部分なので、擦れて傷になったか?日本にいた時は時差ボケ+ハードスケジュールで睡眠不足で疲れもたまり、免疫力が低下していたんだろうなぁ、無理がきかない年齢なのだ、と反省。
 
マダム・ボナンから抗生物質を10日間飲むように言われ、塗り薬と一緒に処方してもらう。薬というものに縁のない生活を送っているので、しかも抗生物質と聞き、何だか身体に悪そう(?)な気がして不安に。一度、夫が抗生物質の副作用で、吐いて震えがとまらなくなり、医者を呼んだ記憶も甦る。
しかし、真っ赤な粉瘤を放っておくわけにもいかず、その足で近くの薬局へ。薬剤師のマダムが、「10日分ってこのくらいで足りるかしら?」と塗り薬のチューブを見せてくれる。そんなこと私に聞くなよ、と思いつつも、店には他に客がいなかったので、Tシャツをまくりあげて、「こんなのです」と見せると、またしても「ウララ~」と驚かれ、「私も実は、同じものができたのよ、背中に。病院で手術したわ」!「手術ですか?」するとマダムは、「すぐに終わるわよ。私なんて手術台にあがって、局部麻酔を打たれてね、医者がさあ、行きましょう!って言ったので、手術が始まるのかと思ったら、その時はもう終わっていて、隣の部屋に移動しましょう、って意味だったのよ」なんて、にこにこしながら話してくれた。
すぐ終わると言っても手術は嫌だなぁ。家に戻って夫に処方された飲み薬を見せると、「あ、これ、オレが医者を呼んだ時の薬だよ」!!飲むのやめようかな、と言うと、「キミは別に抗生物質にアレルギーはないだろう?」。しばらく飲んだ記憶もないから、アレルギーがあるかどうか分からない。
小指の第一関節くらいの大きさのでかい抗生物質を水で飲み干し、どきどきするも、別に何のアレルギー症状も起きず。

滅多に薬を飲まないから薬の効きがいいのか、1週間後にはだいぶ腫れが引くが、まだ赤みは残り、押すと固いし、傷口だったところがかさぶたに。
12日後、再び、マダム・ボナンのところに行くと、「だいぶ収まったけど、皮膚科に行って判断してもらった方がいいわね、手術するべきかどうか」!!「手術しなきゃいけないんでしょうか?」「簡単な手術よ、日帰りの」。「自分で車を運転して行って手術して、また運転して戻って来られますか?」と念のために聞いてみると、「もちろんよ」と自信たっぷりな返事が。
フランスでは、専門医(小児科、婦人科、眼科、歯医者は例外)に診てもらうためには、ホームドクターの紹介状が必要である。マダム・ボナンが「皮膚科医は誰がいい?」しばらく皮膚科医に行ったことがなく(少なくともこの街に引っ越してから)、「優秀な医者をお願いします」と言うと、「みんな優秀よ」・・そんなはずはないと思うが。
それで、二人の皮膚科の連絡先をもらうも、最初に電話した医者は、7月末!までいっぱいと言われる。7月中、ずっとヴァカンスに出るつもりだな、と察しがつき、「考えます」と言って電話を切り、もう一人に連絡すると、2週間後、と言われ、予約を取るが、評判のよくない皮膚科なのだろうか、と心配になる。しかし、フランスはなかなか専門医のアポが取れない。2週間なんて、その前に直っちゃうかもしれない、いや、直るならまだいいけど、その間に病気が進行して手遅れになるケースもあるんだろうな。

皮膚科医はトドを連想させる禿げでギョロ目の愛想の悪いおじいちゃん先生であった。無言で粉瘤を拡大鏡で診るトド先生に「手術した方がいいですか?」。「必要ない!塗り薬で直る」。ほっとして、愛想が悪いのも許そう、という気になる。その後、冷たいガスのようなものを粉瘤にしゅーっと吹きつけられ、思わず、「痛い!」と叫ぶが、手術よりマシだ。
せっかく皮膚科に来たので、少し前(っていつか記憶にないが)に急に首にできたホクロを診てもらい、「これ、癌じゃないでしょうか?」すると、「癌ではないが、キミは肌が白いので、このほくろは目立つ。9月になったら取ろう」え?取りますか?じゃなくて取ることを勝手に決めちゃったの?「粉瘤は2週間薬を塗って、3週間後にまた来てください。ほくろは9月に」と、診察室を出る前に念を押すトド先生は、最後まで一度も笑顔を見せなかった。しかし、9月って、7,8月がヴァカンスなのか?夏の日焼けでさらにほくろが増えたらそれも一緒に取ろうと思っているのか?帰り際に、受け付けで3週間後の予約だけ取って帰る。

その日の夕方に会った友人にほくろ取りの話をすると、彼女も背中にできたほくろをレーザーで取った経験があり、「あっと言う間だから大丈夫よ」。
粉瘤の手術を免れた、と思ったら、次はほくろか。癌の心配がないのなら、放っておいてもいいのだが、トド先生は取る気満々だったし、粉瘤と違ってほくろは薬で消えることもなさそうだし・・。9月まで、まだ時間があるので、少し考えよう。
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江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター。立教大学仏文科卒。映画理論を学ぶために96年に渡仏し、パリ第一大学映画学科に登録。PRESSE FEMININE JAPONAISEを設立し、99年にパリ発情報誌『ビズ』を創刊。現在、日本の雑誌やWebにフランスの情報記事、コラムなどを寄稿しながら、日仏バイリンガルサイト『ビズ・ジャポン』の編集長を務める。著書は芝山由美のペンネームで『夢は待ってくれるー女32才厄年 フランスに渡る』。

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