仏語フリーペーパーL'une Japonりゅぬ・ジャポン廃刊

去年の9月、某日本企業のパリ支社に編集者として採用され、準備を始め、今年の2月末に創刊した、日本の文化やアートを紹介する、季刊の仏語フリーペーパーL'une Japonりゅぬ・ジャポン。
3号目のデザイン入稿前、すでに4号目の取材準備に取り掛かっていたところで、突然3号で廃刊、同時に私にも解雇が言い渡される(まあ、編集長として雇われたから仕方ないけど)。なので、今、パリ市内で配布している3号が最終号となります。

正直、非常に居心地の悪い会社で、このまま勤めていたら、ストレスで病気になるのでは、と感じていたので(採用してもらってこんなこと書いては申し訳ないのだが←じゃ、書くなよ、って話だが)、解雇なら失業保険も出るので、うれしい。

しかし、フリペは何だか、中途半端に終わってしまって残念。特にこうなってみて、ふと、編集長のくせに、媒体にちゃんと愛情を注いでいなかったのではないか、なんて妙な後悔の念が湧いて来た。

99年に立ち上げ、11年間で60号を発行したフリペbisou(現在はサイトのみ)は、編集、記事書きだけではなく、スポンサー探しから、配布、事務、経理まで自分で手掛け、大変だったうえに、お金にならなかったけど、編集に関しては自分の思うままであった。ただ、不思議な勢いのある媒体で、作っているのは自分、のはずなのに、何だか媒体自身が意思を持って成長し、私自身は、それに使われている下邊のような気がしたのだ。さらにbisouは不思議と人を引き付け、色々な人が関わり、手伝ってくれたのだが、特に何か危機(ってほどじゃないけどさ)に直面した時には必ず、助けになってくれる人が現れ、またBisouの神様のおかげだ、なんて感謝したものだ。いまだに、「私、あの雑誌のファンで、今でも保存しています」と言ってくれる人に会うし。
と要するに、自分にとってたいへん愛着のある媒体だったので、これをつい、L'uneと比較してしまい、日本語書店のフリペコーナーにいつまでも残っているL'uneを見て、Bisouは、あっという間に捌けたのに・・、なんて思ってしまったり。親が出来のいい長男とさえない次男を比較するようなものか?私には子どもが一人しかいないので、分からないけど。
しかし、非営利団体を母体に楽しく作っていたbisouと、企業の社員として雇われ、事業の一環として発行していたL'uneを比べるのもおかしいよね。

ストレスの一つが、媒体制作の経験が全くない同僚たちとの作業で、今まで私がフリーの編集ライターとして一緒に仕事をした出版社、編集プロダクション、広告代理店のディレクター、編集者たちが当たり前のように備えていた知性、教養(あんまり使いたくない言葉だがな)、社会常識を持ち合わせない上に自分のやり方を押し通す人たちであったので、彼らとの“共同作業”がいつの間にか、彼らとの“戦い”の様相を呈し、そこにエネルギーを恐ろしいほど使った。
会社勤めをしている友人たちに愚痴ると、「そういう困った人たちは、うちの会社にだっているよ」と返され(じゃ、今までそういうタイプと仕事で巡り合わなかった私は相当運がよかったのかなぁ、と思いつつも)、となると、合わない同僚とも折り合いをつけて働く、という勤め人としての能力が欠けている自分に問題があるのではないか、と思い始めた(ちょっと謙虚?)。
っていうか、そもそもそっち方面の自分の能力のなさに気付いて、フリーランスになったのではないか?解雇されてホッとしているし・・、今更ながら自分が会社勤めに向かないと気づく。
人は戦いによって自分が何者であるか、何者でしかないかを知る、ってなことを、高橋和己が書いていたような(曖昧な記憶)・・。

しかし・・、編集長ならフリペと心中するくらいの気持ちがあってしかるべきで、同僚に向かって負のエネルギー(だったよな)を使うのではなく、読者の方に向いて、フリペをより良く、面白く、読み易くするプラスのエネルギーを注ぐべきであり、それが不可能な環境だったのだから、やっぱり辞めることができてよかったんだろうな。

りゅぬ


さて、最終号のテーマは大麻(おおあさ)。大麻はテーマとして“今来てる”感があるが、
大麻がいかに日本人の生活と深く関わりあっていたか、という歴史に始まり、現在、大麻の悪いイメージの払しょくに務めながらオーガニックの大麻栽培を手掛ける若者、それを支援する地方自治体、エイベックスが立ち上げた大麻を原料にしたファブリックのブランド、精麻を撚った紐でアクセサリーを作るアーティストまで、大麻をキーワードに幅広く取材し、なかなか面白い出来になっている。ひとえに日本在住の特集ページ担当の編集ライターが優秀なおかげ。
と、私はといえば、パリの街を常にバッグにL'uneを詰め込んで持ち歩き、今更ながら配布先を探し、また興味をもってくれそうな人には、片っ端から手渡しする(ほとんど押しつけ状態)、贖罪(?)の日々を送っております。

本誌は仏語だけど、webに日本語訳が全て載っているので、ぜひ、読んで下さい。
www.lunejapon.com
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次へのステップへの道だったのでしょう。
そう思って ぐんぐん行ってください( ´ ▽ ` )ノ
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プロフィール

江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター。立教大学仏文科卒。映画理論を学ぶために96年に渡仏し、パリ第一大学映画学科に登録。PRESSE FEMININE JAPONAISEを設立し、99年にパリ発情報誌『ビズ』を創刊。現在、日本の雑誌やWebにフランスの情報記事、コラムなどを寄稿しながら、日仏バイリンガルサイト『ビズ・ジャポン』の編集長を務める。著書は芝山由美のペンネームで『夢は待ってくれるー女32才厄年 フランスに渡る』。

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