無印良品・鎌倉の家モニター落選と上野千鶴子の『おひとりさまの最期』

無印良品が、同ブランドの“窓の家”に2年間無料で住む、“鎌倉の家住まいモニター”を募集していたので、ためしに応募した。場所は鎌倉駅から徒歩15分、由比ガ浜近く、とある。
日本に帰国して、鎌倉でフレンチ風カフェ&ギャラリーをやろうかな、と画策している。ビズのアーティストメンバーである鎌倉在住クリエーターさんが、カフェをオープンするなら、由比ガ浜通りがお勧めですよ~、なんて言っていた。また、ネットで見つけた、由比ガ浜通りにある、とてもユニークな不動産屋に、この夏の帰国時に飛び込んで、そんな話をしたら、1時間近く、お付き合いしてくれたり。お、由比ガ浜か、縁がある、なんて。

無印良品のサイトによると、4年前に“三鷹の家”で、同じようにモニター募集をしたところ、5,533人の応募があったそうで、人気の鎌倉ならこの倍は来るだろうな、と。二者択一さえほぼ確実にハズす、くじ運の超悪い私が当選するわけない。って、別に抽選じゃなくて選考なんだけどさ。出来レースの可能性もなくはないし・・・。
ともあれ、応募しなきゃ、選ばれないわけだし、と8月の締め切りを目指して、ぼちぼちとアピールシートを作成し始めた。

そもそも、このモニター募集キャンペーンは、何のためにあるのか?それは家を売るためです!って、北川景子主演の『家売るオンナ』は、久しぶりにオンエア(こちらだと動画UP)が待ち遠しいドラマだったな。女主人公のインパクトの強烈さは『女王の教室』以来かも・・、といかん、話がそれてしまった。
つまり、無印良品の商品=家を売るためのPR戦略であり、家購入適齢期の人が選ばれるに違いない。小さな子どもがいる、30代夫婦、みたいな。
三鷹のモニター夫婦は、夫30代、妻20代で、住まいレポートというタイトルでブログも連載し、モニター期間中に赤ちゃんが生まれている。家の購入を検討中のブログ読者は、自分たちの生活と重ね合わせながら読むだろうし・・。
翻って、我が家は初老夫婦(いやいや、ミドル世代夫婦と呼ぼう)、しかも旦那はがいじん・・。となると選ばれる確率は・・・。

そこで、一計を案じる(ってほど、大袈裟なものではないが)。
「子育てに親の高齢化問題が重なる年代なので、在宅医療を踏まえた“終の棲家”なんてテーマもブログに取り上げ、退職金での建替えを考えるシニア層にアピールします!」と書いてみた。

ちょうど、上野千鶴子の『おひとりさまの最期』を読み終わったところだったのだ。『おひとりさまの老後』が興味深い内容だったので、この夏、帰国時に続編の同書を購入。年老いた“おひとりさま”というと、生涯独身をつらぬいた人のイメージがあるが、子どもがいてもやがて巣立って行くし、配偶者がいても、先立たれたり、流行りの熟年離婚だってありうる。つまり、だれもが、最後はおひとりさまになるのだ、という説に納得。同書は、在宅介護、ホームホスピス、在宅ひとり死の実践例がレポートされているが、日本も在宅医療・介護をサポートするサービスが、徐々にではあるが、整備されているようだ。体が不自由になっても施設には入らず、できる限り自分の家で生活したいと願う人は多いだろう。
 フランス人は自立心が強いので、子どもは成人したら親元を出て行くし、親の側も高齢になっても子どもを頼って同居する、という話は、まず聞かない。夫の祖母は(義母を妊娠中に夫=私の夫の祖父が病死し、その後は独身をつらぬく)、90歳で足の骨折をきっかけにやむなく施設に入居するまで、一人暮らしをしていた。現在、83歳の義母も一人暮らしをしている。3年前に義父はパーキンソン病で亡くなったが、死の数日前まで、自宅で過ごした。自立心も大事だが、不自由になった体で、自宅に住み続けられるかどうかは、家のつくりが大きなポイントになる。義父母宅は、一階にリビング、キッチン、寝室、バスルーム、トイレがあり、室内はもちろん、門から玄関までも段差がない。寝室が二階だったら、最後は車いすを使っていた義父に義母との二人暮らしは難しかっただろう。義母によると、同年代のご近所さんたちの中でも、二階にリビングとキッチンのある家に住んでいる人たちが、まず、エレベーター付きのアパルトマンに住み替えたそうだ。

   

モニター募集のアピールシートには、間取り案も書き、一階には、客間になる和室を作った。ふすまではなく、光の入る障子でリビングと仕切る。しかも猫間障子を使うことを提案。真ん中にガラス窓があって、その部分にも開閉できる小さな障子戸がついているタイプの障子だ。この夏、鳴子温泉の安宿のしかも自炊棟なるところに泊まったのだが、長い廊下に沿って、宿泊部屋が並び、廊下と各部屋を仕切るのが、この猫間障子。窓部分の障子戸を開けると、室内で座していれば、外が覗けるが、廊下を歩く人はかがまないと中が覗けないという、座の文化ならではの知恵?そして、間取り案では、この和室は、畳を外せば、バリアフリーの板間となり、在宅介護室としても使える、と記す。
無印良品の家のコンセプトの一つに、“間取りを最初から作りこまない”というのがある。長く快適に住み続けるために、家族構成や年齢の変化によって、しきりを作ったり、はずしたりして、間取りを変えるというものだ。住まい方の変化に対応し易い家、というのはとてもいい発想だ。何せ、多くの庶民にとっては、家って一生に一度の大きな買い物だから。無印良品は、家具で間仕切りをすることで、空間を活用する、という提案をしているが、確かに、壁を作ったり、壊したりするより簡単だし、費用もかからないが、地震国日本で、間仕切りに背の高い家具を使うのは、ちょっと不安だな。

他の自己PRは、自分はフリーライターなので、ブログが書けること。まあ、ブログなんて今時、誰でも書いているが。申し込みフォームにブログアドレスを記入する欄があったが、こんなだらだらと長く、しかも屁理屈の多いブログは、かえってマイナス評価につながるのでは、と心配になる。
そして「MUJIは、フランスでも人気なので、≪無印良品の家≫事業がフランスに進出する時、お役に立てます」と付け加えておく。ブログをフランス語で書け、と言われたら、面倒だが。

ともあれ、間取りまで考えて、そこで生活している自分を空想していたら、なんだか楽しくなって来た。

モニター応募は、もちろん夫にも許可を得る(ほとんど事後報告だったけど)。神社仏閣の写真を撮るのが大好きな夫は、鎌倉がお気に入りだし、8月末に、近所に住む剣道仲間の家で行われたBBQパーティに、日本在住の七段のフランス人の剣道家がパリ出張中とかで、同席したのだが、彼は以前鎌倉に住んでいたことがあり、「八幡宮にある剣道場は、和太鼓を音を合図に稽古が始まるんだ」なんて話をし、夫は、「いいなぁ」と羨ましげだった。

さて、無印良品からは、月半ば頃にメールニュースが届き、『応募者総数12,562組!『担当者がうれしい悲鳴を上げながら、みなさんの応募内容を1件1件丁寧に見させていただいています』とあった。・・・ご苦労なこってす。

それで、先日、“モニター応募の結果”と題するメールが届き、『江草 由香様の鎌倉の家モニターは、ご希望に添えないこととなりました。』撃沈。・・第一次選考も通過しなかったかぁ。
しかし、1万2千人を超える応募者一人一人にちゃんと、返信しているんだな。まあ、名前の部分を書き換えているだけで、たぶん、ワンクリックで簡単にできるんだろうけど、それにしても、丁寧な対応だな、とちょっと感心。「たとえ選ばれなかったとしても、いつか無印良品の家を建てたい。」なんてアピールシートに書いた人もいたという。応募者は見込み顧客、と考えれば、こういう対応も大事な営業活動の一環か。

夫に「落ちた」と言うと、笑いながら、「早く結果が分かってよかったじゃないか」。
いや、どうせ外れるなら、もう少し長く夢を見ていたかったかも。宝くじって買ったことないけど、抽選日まで、「もし、当たったら、何に使おうか」ってあれこれ夢想する・・、それが楽しみ、って人も多いんだろうな。
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No title

私のほうにコメントいただいたので、覗きにきました。(更新頻度あがったですね!!)mujiの家、残念でしたねぇ。住みやすそうな印象。それにしても、ずいぶん結果が早く出るものなんですね。驚き。
上野千鶴子、亡き母の在宅介護をしていた時に、立岩真也氏との対談«ケアの値段はなぜ安いか»←介護崩壊の話メイン読みました。自宅に介護系の方々、頻繁に出入りしていたこともあって、関心増したため。 (上野千鶴子対談集 «セクシャリティをことばにする»)

No title

確かに、前は週一ペースで書いていたのに、ここんところ一か月に一度書くか書かないかでしたからね。mujiは、出来レースの可能性もありますし。上野千鶴子って、朝日新聞の連載くらいしか読んでおらず、あまり、興味なかったんですが、この二冊は面白かったです。

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プロフィール

江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター。立教大学仏文科卒。映画理論を学ぶために96年に渡仏し、パリ第一大学映画学科に登録。PRESSE FEMININE JAPONAISEを設立し、99年にパリ発情報誌『ビズ』を創刊。現在、日本の雑誌やWebにフランスの情報記事、コラムなどを寄稿しながら、日仏バイリンガルサイト『ビズ・ジャポン』の編集長を務める。著書は芝山由美のペンネームで『夢は待ってくれるー女32才厄年 フランスに渡る』。

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