発達障害の息子の高校見学


アスペルガー症候群と診断されている14歳の息子は、今年が中学校の最終学年。ここまでは、学区内の公立校に通い、アシスタントがついて、なんとか普通クラスに在籍している。
今年の9月に、リセに進学するので(落第しなければ)、普通リセかリセ・テクニック(工業高校のようなもの)、または、職業リセなどから、選ぶことになる。

息子は、言語コミュニケーションの障害があり、人の話していることも少し複雑になると理解できない。文章の理解力がなく、音読は、日本語もフランス語もすらすらとできるが、内容がよく把握できない。学校の授業でも、板書はできるが、先生が説明していることをノートすることができず、アシスタントに手伝ってもらっている。

普通リセで授業についていくのは、難しいだろう。特に哲学の授業なんて、とうてい理解できると思えない。まあ、人文系には、間違っても進まない(進めない)だろうが。
また、若者の失業率の高さが深刻なフランスでは、大学を出ても、簡単に仕事が見つからない(日本も同じかもしれないけど)。ノーマルな人(ノーマルの定義なんぞを考えてると、話がそれてしまうので、それはさて置き)でさえ、仕事が見つからないのに、まして、障害を抱えている息子は一体、どうなってしまうのか。障害者雇用枠のことも視野に入れてはいるが、法律もころころ変わるので、息子が社会に出る頃にどういう条件になっているか分からない(景気だってどうなることやら)。とりあえず、今の段階では、科学技術系の専門技術を身につけるためのテクノロジー・バカロレアを目指す、リセ・テクニックに進めればいいな、と思っている。

3月最初の土曜に、中学校で、進学説明会が開かれた。親が説明会に出ている間、子どもたちは、校舎内のカフェテリアで行われる、職業エキスポ(とでも訳しましょうか、Carrefour des métiers)に参加した。

高校見学中学の前
(進学説明会の日は雨)

説明会は、進路選択の目安、各リセの特色、その後の進路などなどについて、校長と進路指導担当がスライドを使って、説明する。1年目は普通リセで、2年目からリセ・テクニックに移ることも可能だということが分かる。

説明会が終わって、職業エキスポ会場へ。子どもたちが、興味のある職業のブース(と言ってもテーブルが置いてあるだけ)を訪れ、その道のプロ(たぶん、市内の企業・団体の人間が中心)に色々と質問をする。息子は、コンピュータ技術者二人と話をしたという。何を聞いたの?と尋ねると、「苦手なものは何ですか、って聞いたら、スポーツだって」。そんなレベルである。
その他に、自動車教習所の教官にも話を聞き、「何歳から運転できますか、って尋ねたら、15歳からだって。他の子は、どんな車に乗るんですか?って質問していた」。訪れた子ども全員が教習所のカードを渡されたそうだ。なるほど、いい宣伝だわ。
高校自動車教習所

(妙に担当者が多い、自動車教習所のブース)

他にも、警察官、消防士、看護アシスタントなどがいた。住宅施工会社の社長(?)は熱心にパネルなんか使いながら、子どもたちに説明をしている。息子は以前、大工になりたいと言っていたので、そのブースにも行ってみようと誘ったが「夢が、変わった」の一言。今は、漫画家かユーチューバ―になりたいらしい。

高校消防士
(消防士は人気職業の一つ)

ブースを訪ねるとそこで、サインをもらい、それを月曜日に、担任に提出することになっている。もう一つくらい回ろう、(きっと多いほど評価が上がるだろうから)ときょろきょろすると、マウンテンバイク専門誌Velo Vertのブースがあり、編集長本人が来ていた。

息子は2年ほど、毎週土曜にマウンテンバイク教室に通っていたが、参加者が少なく、指導者と生徒は息子一人だけ、なんて日もあり、教室が成り立たなくなってしまった。本人もさほど情熱がなく、「自転車はケツが痛くなるから、もういい」の一言で二度と乗らなくなってしまった。
自転車はもちろん、編集の仕事にも興味のない息子に変わって、私が色々質問し(発行部数とか、編集部員の数とか、ありきたりなことを)それでも息子は横で、一応メモらしきものをとっていた。
自分は編集者だけど、息子は、本当は編集には全く興味がなくて、と話すと、編集長氏曰く、「僕も若い頃はアートの勉強をしていたんだけれど、自分には合わないと思って、その後、営業マンとして働くことにしたんだ。この雑誌が、広告営業マンを募集していたから行ってみたら、そこで心の父とも呼べる人に出会って、一から編集のことを学んだ。やりたいことなんて、この年齢じゃ分からないし、決めていたとしても、これから変わるだろうし」。
確かに・・。

高校velo-vert
(編集長と一緒に写真を撮ってもらえばよかったのに、すっかり忘れたので、雑誌Velo vertの表紙)

息子の場合は、障害のせいで、できることが限られているし、やりたいことしかやらないという性格(これも障害のせい?)もあるので、やりたいことで、それに適性があって収入に繋がる何かを見つけてほしいのだが・・。

翌週の土曜日は、学区内のリセ・テクニックの学校見学の日。
校名は、リセ・シャルル・ドゴールなんだけど、住所が、テクノパークとなっている。え?テーマパークの一種?とググってみると、・・要するに企業団地みたいなものなのね。ナビに住所を入れて、我が家から車で15分。

こんな建物であった。

高校見学剣

門を入ると、保護者会のメンバーからチラシを渡され、「分からないことがあったら、何でも質問してね」と言われたので、さっそく、バス路線について聞いてみると、我が家の近くの駅からリセ近くの停留所まで、直通バスがあるはず、と教えられる(家に帰ってwebでチェックしたら、それは隣駅からのバスだったが)。

リセの建物に入ると構内図を渡される。
まずは、息子が興味を持ちそうな、工業技術科学課程の教室に入る。スケートボードにブレーキを付ける研究開発を生徒たちが行っているとかで、技術屋って感じの教師がそれを講義でもするごとく、スライドを見せながら妙に熱く語っていた。一応、息子も何やら、メモを取る。

高校見学剣メモ

次に、数学の教室に入ると、殺人現場に残されていた髪の毛から、犯人を割り出すのに数学を用いる方法なんてものをスライドを使って説明していた。面白そうだけど、実際、授業でこんなことをするのだろうか?息子は、よく分からなかったのか、「あんまり面白くない」と一言。

最後に情報デジタル科学の教室に入ると、数台のパソコンがあって、どうやらプログラミング体験ができるようなのだが、どう見ても小学生にしか見えない子どもが、パソコンに向かっていた。きっと、土曜日なので、教師の誰かが、預ける人がいなくて連れて来たのだろう。一度、役場のカウンター内に小さな子どもがいて、職員が「今日、急に学校が休みで預け先がなくて」と言っているのを聞いたことがあるし。歯医者の予約時間の寸前に秘書から「急に先生が奥様の代わりに子どもを幼稚園に迎えに行くことになったので、30分、予約の時間を遅らせて下さい」なんて電話があったことも。フランスって働く親に寛大な国なのである。結局、パソコンは全部埋まっていたので、プログラミング体験もできず。
見学アンケートを書いて、退散。

高校見学剣建物

家に帰って、資料を見ると、どうやらこのリセでも、科学系と経済・社会系の普通バカロレアは受けられるらしく(人文系はなし)、特にテクノロジー・バカロレアを目指すための高校ではないということが分かる。

しかし、フランスの面倒な教育カリキュラムは、時々、制度も変わるし、日本人の親としては理解するのに一苦労。息子の場合は、発達障害の問題もあるので、さらに複雑になってしまうのであった。

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No title

こんな学校もあるのだなぁと、とてもためになりました。ありがとうございます。息子さん、興味のある方向に学校が見つかるといいですね。

No title

日本の工業高校もこんな感じなんでしょうかね?ほんと、どうなることやら、です。

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プロフィール

江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター。立教大学仏文科卒。映画理論を学ぶために96年に渡仏し、パリ第一大学映画学科に登録。PRESSE FEMININE JAPONAISEを設立し、99年にパリ発情報誌『ビズ』を創刊。現在、日本の雑誌やWebにフランスの情報記事、コラムなどを寄稿しながら、日仏バイリンガルサイト『ビズ・ジャポン』の編集長を務める。著書は芝山由美のペンネームで『夢は待ってくれるー女32才厄年 フランスに渡る』。

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