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日本人の現代女性作家の本ばかりを、立て続けに読んでいる、今日この頃


あまり本は読まない方だと思うけど、たまに、読み始めると、数冊を立て続けに読む。特に、パリに出る用事が多い時期には(展示会に数日間通うとか)、郊外電車の中で、本を読む時間が増えるし。
で、なぜか、日本人の現代女流作家の本ばかり、読んでいる、この頃。・・ところで女流の流ってなんじゃ?男流作家って言葉は聞かないしなぁ、と思っていたら、『男流文学論』なんて本が出ている、上野千鶴子、富岡 多恵子、 小倉 千加子共著だって。怖そうだなぁ。

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で、話戻って、このところ読んだ本に、けっこう当たりが多かったのだ。


村田沙耶香『コンビニ人間』


「あっという間に読めます。こういう小説が芥川賞を取るんだぁ?という作品ですよ~」と貸してくれた人の一言。
ほんと、あっという間に読んでしまった。たとえ考え方や感じ方がフツーの人(の定義がまた、難しいんだが)と違っても、この女主人公は、ちゃんとコンビニで働いて=社会の役に立ち、独り暮らしをしている=自立しているんだから、それで十分じゃないのかね、この引きこもっている人間がたくさんいる時代に。そもそも、日本の非正規雇用率40%(人手不足で、正規雇用が増えつつあるらしいけど)、女性の生涯未婚率14%(“50歳まで未婚”っていう、この50歳の根拠はなんだ?)の時代に、正社員じゃなくて、結婚していないのは変、ってずいぶん時代錯誤な発想をする人がいまだに多いのか?と不思議に思った。
ちなみに、この主人公が美人だったら、ずいぶん、話が違っただろうな。この小説の主人公美人ヴァージョンが、大ヒットドラマの『逃げるは恥だが役に立つ』ではないかと思ったりもした。こちらは原作マンガがあるみたいだけど。機会があったら読んでみたいな。


『八日目の蝉』角田光代


エッセイストの長谷川たかこさんが、「江草さん、こういう本、好きなんじゃないかと思って、エンターテイメントだけど」と言って貸してくれた。角田光代は『空中庭園』が面白かったのだけど、次に読んだ本がつまらんかったので、(書名も覚えておらず)、その後は読んでいなかったけど、この本は、はい、おっしゃるとおり、私の好みで、借りたその帰りの電車で読みはじめ、翌日には読了した。
不倫相手の男性とその妻の間に生まれた赤ちゃんを誘拐し、3年ほど自分の子どものように育てた女性が主人公。その不倫相手の子どもを妊娠していたが、堕胎すれば結婚できると不倫相手当人にそそのかされ、その子につけるはずだった名前で誘拐した子どもを呼んでいたという。このエピソードで大半の読者は主人公に肩入れするのではないかと。そういえば、少し前に、アメリカで誘拐した新生児を18年間、実の子として育てていた女性が逮捕された事件があったっけ。そんなに長い間、よくばれなかったな。事実は小説より奇なり、ってやつ。
エンタメと純文学の違いは、分からんが、エンタメなら、出所した主人公と成人したその子(不倫相手の子どもを妊娠中)が一緒に住んで、赤ん坊を育てることにしました、めでたしめでたし。と二流ドラマっぽい終わり方にしてほしかったかも。別にエンタメだからハッピーエンドってこともないか。


『ヘヴン』川上未映子

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もう一冊、長谷川さんが貸してくれたのが、この本。川上未映子は、『乳と卵』が、つまらなくて途中で投げ出したので、それ以降、読もうと思わなかったが、この『ヘヴン』は、面白かった。でも、一気読み、はできず、というのもイジメのシーンで、つらくなったので。イジメにあっている中学生男子の主人公と、同じくイジメの対象のクラスメイトの女子の交流を描いている。主人公は斜視で、それがイジメの原因だと思い込んでいたが、いじめっ子自身から、それはいじめの決定的要因ではない、と言われる。確かに、ジャン・ポール・サルトルなんて、斜視で醜男だったけど、その知性で人を惹きつけ、ずいぶんな女たらしだったというし。それでも、主人公が最後に斜視を直す手術を受け、見えた光は、希望の光だよね、なので、読後感はよかった。ついでにコジマが、髪の毛を切り、清潔な恰好をしたら、じつは、すごい美人だった、なんて安っぽい少女漫画的なオチをつけたら、どうなるだろう、なんて想像してしまうが。そうなると、ヘヴンは存在しないことになってしまうのか?

勢いにのって(?)他の日本人女性作家の小説を読みたいと思うが、パリでは、簡単に日本の本は手に入らぬ。ブックオフ・パリ店がつぶれたのは、実に悲しい。息子の通う天理日本語教室には日本図書館があるのだが、ちょうど読む本が切れた時が、学校休みの時期。去年の夏に実家から持って来た本の中に、これを見つける。


『閑人生生 平成雑記帳2007-2009』高村薫


本当は小説が読みたかったし、2011年3月以前の時事エッセイってあまり読む気がしないなぁ、と思いつつ、でも高村薫だし、と読み始める。
高村本は最後に読んだのが、福島の原発事故を予言したともいわれている『神の火』。すんばらしい作品で(私が読んだのは文庫版)、登場人物の中で、江口という好事家のおっさんになんか魅かれた。

で、『閑人生生』は、ざざっと読むが、著者はすでに10年前に日本の貧困問題を憂いていたんだなぁ、と・・。最近の時評も読みたくなり、アマゾンをチェックしたら、『作家的時評集2008-2013』も出てるし、今年になって、『作家的覚書』なるものも出版されている。岩波の「図書」(あの書店のレジの前とかに積んでいる)で連載していたエッセイらしい。夏に日本に帰国する時に買うべし。

作家的時評集2008-2013
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『やさしい訴え』小川洋子



久しぶりに、息子の付き添いで天理日本語学校に行く。ここの図書館では今まで、マンガしか借りてなかったので、今回、初めて本を借りた。同時に、萩尾望都の『海のアリア』も借りたけど。逗子・鎌倉が舞台の漫画。



『やさしい訴え』の主人公瑠璃子は、暴力をふるい、愛人のいる夫との暮らしに耐え兼ね、子どもの頃を過ごした山間の別荘(彼女の両親の持ち物ってこと)に一人で住み始める。カリグラファーである瑠璃子はそこで、仕事に打ち込みながら、近くに住む、チェンバロ製作者の男性とその助手である若い女性と親しくなる。
小川作品はけっこう好きで、数冊読んでいるけど、カリグラフィー、チェンバロ、山間の別荘・・、実に心地よい小川ワールドに浸れます。結局、離婚が決まり、新しい恋は実らず、思い出の別荘も人手に渡る、でも、自分の好きな仕事で生計が立てられるめどがつく、つまり一番必要かつ確かなものが残ったんだから、いい結末じゃない?と私は思ってしまったが。
今、NHKドラマ『ツバキ文具店~鎌倉代書屋物語』を楽しみに見てるけど(動画無料配信で。いい時代になったよ)、カリグラファーにしても代書屋にしても、文字を書く仕事って、なんか趣があっていいな。パソコン使って、文字を“打つ”我らライターとは、似て非なる職業だわ。


『真鶴』川上弘美

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『やさしい訴え』を返して、代わりに借りたのがこの本。同著者の『センセイの鞄』は、ユーモラスな感じだったのに、なんか、のっけから重くて、ちょっと気味の悪い作品だわ。真鶴って実家の近くじゃん、なんて思いながら借りたんだけど。でも、すらすら文字も追えるしということで、今、この本を読んでいる最中。

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プロフィール

江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター・コーディネーター。
96年に渡仏し、99年から10年間パリ発日本語情報誌『Bisouビズ』の編集長を務め、同時に日本の雑誌やWebに情報記事、コラムなどを寄稿。
2010年に日仏バイリンガルサイト『BisouJaponビズ・ジャポン』を立ち上げ、ジャパン・エキスポなどパリで行われる見本市で、日本企業や日本人クリエーターの出展をプロデュース、展示会の企画コーディネートの仕事を始める。
2018年に22年間のパリ滞在にピリオドを打ち、日本に帰国。

『BisouFranceビズ・フランス』
https://www.bisoufrance.com/

個人ブログ『湘南二宮時々パリ』
http://ninomiyaparis.blog.fc2.com/

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