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タルコフスキーの墓参りが、22年目にして叶う

大好きなロシア人映画監督アンドレイ・タルコフスキーがパリで亡くなったのは、1987年のこと。お墓がパリにあると聞き、これはお参りに行かねば、と思ったのは、私がパリに住み始めた1996年。
ところが実現したのが、今年になってからである。

というのも、タルコフスキーのお墓は、パリではなくその南の郊外、サン・ジュヌヴィエーヴ・デ・ボワのロシア人墓地にある。
私も十数年前に郊外に引っ越したが、北西なので、全然近くない。
一人でどこでも出かけてしまう方だが、パリ郊外南方向?治安はいいんだろうか?しかも墓地である。これは誰か一緒に行ってくれる人を見つけた方がいい、と思いつつ20年以上が過ぎてしまったのだから、恐ろしい。

郊外でもシャトーならまだ人を誘いやすいが、ロシア人墓地に一緒に行ってくれる奇特な人は簡単には見つからない。タルコフスキーのファンを探せばいいのだが、お墓参りをするほどの大ファンで、しかもパリに住んでいる、あるいはパリに旅行に来て、一日を墓参りに費やす覚悟(?)のある人、となるといないんだよね、これが。
ジム・モリソンみたいにペール・ラシェーズに眠っていてくれたら、すぐにでも行くんだけど、と言い訳しながら(誰に?)、あっという間の22年であった。

ところが、最近、おつきあいが始まったイラストレーターのK子さん、パリ郊外に住んでいるというので、「どちらに?」と聞いたら、どんぴしゃり!「ロシア人墓地がありますよね?」と確認すると、彼女、タルコフスキーは知らなかったがロシア人墓地はもちろん知っているという。
これは神様の思し召し(か?)、K子さんが都合のいい時に一緒に行ってくれることになり、フランスを離れる1週間前になって、実現したのである、タルコフスキーのお墓参りが。

パリのサン・ミシェル駅からサン・ジュヌヴィエーヴ・デ・ボワまで郊外電車で30分、と思っていたより近い。

タルコフスキー駅

駅までK子さんが迎えに来てくれて、近くのクレープ屋でランチをしてからバスで、墓地に向かう。
Piscine(プールの意味)という停留所で降りると文字通りでかい屋内プールらしき建物があり、その近くに、墓地の入り口が。
前もってtogetterで<タルコフスキーのお墓への行き方>をチェックしておいたにもかかわらず、墓地内で迷う。

タルコフスキー墓地

と言っても10分もかからずに見つかりました!

タルコフスキー墓

お墓のすぐ横にベンチらしきものまで用意されているのは全世界中から来るタルコフスキーファンへの配慮か。
そういえばお花の一つも用意して来なかった私。お祈りして、「映画の勉強の為にパリに来たにも関わらず、せっかく受かった大学の映画学科もさっさと辞めてしまい、映画からは遠く離れ、このまま日本に帰ります」と告げる、心の中で。タルコフスキーは私のこんな話、全く興味ないだろうな、と思いつつ、ほかに伝えることもないので。

天気もよく、タルコフスキーのお墓はいい具合に木陰で、おまけにベンチまであるので、そこに座りながらK子さんと少しおしゃべりして、その後、さっさと駅に向かう。ストの最中で、電車の数もいつもより少なかったし。

後日、K子さんが、旦那様から「墓地まで行っておいて、なぜすぐそばにある、ロシア正教会のノートルダム・ド・ラ・ドルミシオン教会は見に行かなかったの?と聞かれたそう。お墓が見つかって、それだけで満足してしまい、美しい教会のことなど頭になかったのである。

これからもし、タルコフスキーのお墓参りをする方は、教会に行くこともお忘れなく。



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プロフィール

江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター・コーディネーター。
96年に渡仏し、99年から10年間パリ発日本語情報誌『Bisouビズ』の編集長を務め、同時に日本の雑誌やWebに情報記事、コラムなどを寄稿。
2010年に日仏バイリンガルサイト『BisouJaponビズ・ジャポン』を立ち上げ、ジャパン・エキスポなどパリで行われる見本市で、日本企業や日本人クリエーターの出展をプロデュース、展示会の企画コーディネートの仕事を始める。
2018年に22年間のパリ滞在にピリオドを打ち、日本に帰国。

『BisouFranceビズ・フランス』
https://www.bisoufrance.com/

個人ブログ『湘南二宮時々パリ』
http://ninomiyaparis.blog.fc2.com/

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