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保健室がない、フランスの学校

以前のブログで、フランスの学校には保健室がない、と書いたことがあるが、今回、保健室のない不便さを実感するささやかな事件が。

 木曜日、パリでランチを取る約束があり、今にも家を出ようとしていた時に、急に夫から電話が。息子が学校で怪我をしたというのだ。その日、夫は休暇を取って、バルコニーに貼るタイルを買うために、少し離れたところにあるショッピングセンターに出かけていたのだが、「頭からだいぶ出血したみたいだ。絆創膏と脱脂綿を持って迎えに行ってくれ」??学校に救急箱がない?息子は血を流したまま何の手当ても受けていないわけ?そもそも以前、息子が病気になった時は家に直接電話がかかってきたのに今回はなんで、夫の携帯に連絡が行ったの?と、色々な??が頭の中に浮かんだが、とりあえず「何で学校に絆創膏がないのよ?」と聞くと、夫は面倒くさそうに「Steri-Strip(キズ寄せ絆創膏)を持って行けばいい、オレはまだ買物の途中だから」と言って、電話を切る。ケガをした子どもより、タイルが大事か!と夫に腹を立てながらも、Steri-Stripと脱脂綿、ハサミ、普通の絆創膏、ティッシュを持って学校に走る。

夫は先週、車を買い替えたのだが、前の車は下取りに出し、新しい車が届くのは来週なので、私の車で買い物に出かけたのだ。ケガをした息子を歩かせてもいいものだろうか?25キロ近い息子を私が抱っこするわけにはいかないし、タクシーか救急車を呼ぶべきなのか?まったく、タイミングが悪い!とぶつぶつ独りごちながら、学校に着くと、息子は教室で机に座っており、その顔には、左目の横から口元にかけて大きなガーゼがあてがわれ、その上から昔ながらの絆創膏が十字に貼ってあった。担任が息子を連れて出てきて、絆創膏をぺろっとはがすと、眉毛の上に小さく開いた傷は思ったより小さくてほっとするが、ガーゼにはもちろん、カーディガンにも何か所か血がついている。
担任は、一言も詫びず、「休み時間に走っていて、バスケットゴールの柱にぶつかったのよ」。さらに、息子はクラスメイトと交わらず、いつも孤立していることが問題になっていたので、「でも、クラスの友達と一緒に遊んでいて、ぶつかったのよ。ケガをした後はクラスのみんなが心配して、KENの周りに集まって来て、優しい言葉をかけたの。これは、あなたにとっていいニュースでしょ!」と来た。そんなことよりケガが心配な私はSteri-Stripを取り出し、「これを持って来たのですが」。「あなたが貼ってください。私たちにはそれを使う権利はないの」。勝手な手当てをして、何かがあり、訴えられたりすると困るから教師には必要最低限の手当(でっかいガーゼを貼る)以外のことはできないらしい。「医者に見せた方がいいと思うのですが」。「診療所は、こういうケガは見てくれないわよ、クリニックか病院に連れて行かないとねぇ」。ふと、以前、息子が海岸で、足をガラスの破片で切った時に、薬屋へ行って、手当してもらったことを思い出し、「じゃ、薬屋へ連れて行きます」と言うと、「それがいいわね。今日の午後は療育センターでしょ?もう、学校には戻って来なくていいわよ」と、さっぱりしたものである。そして最後に、「連絡票を忘れずに出してね、電話番号が分からず困ったので」。どこから夫の携帯番号を見つけたのか?そんなことはあえて聞かずに、さっさとさよならを言って、学校を出る。

 「大丈夫?」と尋ねると「ちょっと痛い」と答える息子と手をつなぎ、ゆっくり歩きながら、近くの薬屋へ向かう。
 幸いなことに、親切な薬剤師の女性がいて、まずは、驚いた様子で「どうして、学校は救急車を呼ばなかったの?」。ところが、ガーゼを取り除き、傷口を確認して、「ああ、小さな傷ね。でもここは傷口がそれほど深くなくても血がたくさん出るのよ。」と言い、消毒液をつけ(学校ではそれもつけてくれなかった)、持参のSteri-Stripをていねいに貼ってくれて、その上に縦横1.5センチくらいにコンパクトに畳んだガーゼをあて、網目タイプの絆創膏で止めてくれる。腫れを防ぐため、とホメオパチーの薬を勧められ、結局、お金を払ったのはその薬代だけであった。

 「優しい薬剤師さんがいて、よかったね」と帰り道に息子に言うも、しかし、学校に保健室があれば、すぐに手当てできるような傷である。フランスの学校では、子どもの具合が悪くなったり、ケガをしたりすると、「引き取りに来てください」と親に連絡が来る。そして親かその代理が迎えに来るまで、子どもは教室で待たされるようだ。一度、息子が学校で熱を出した、と連絡が来たことがあり、たまたま私が家にいたので10分後に迎えに行くことができた。しかし、両親とも学校から離れた職場に勤めていたり、迎えに来られる人が近くにいない場合は、どうするのだろう?子どもは教室でずっと待たされるのだろうか?
保健室があれば、横になって待っていることもできるし、小さなケガの手当だってできるだろうに。また、心の悩みを打ち明けられる保健の先生がいたりすれば、とてもありがたい。フランスでは子どもに問題行動があると、すぐに「心理士のところに連れて行きなさい!」と言われるが、その前のワンクッションに、保健室があればいいと思うのだが。

保健室

(夏休みの写真。別にこの麦俵にぶつかってケガをしたわけでは、ありません)

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なんだか・・・

江草さんも、Kenちゃんも大変でしたね・・。

しかしながら、今回の記事を読んでいて、やはりフランスも分業制度は徹底しているんだ・・と正直ため息が出ました。

そして、保健室がない学校に通うフランスの子供さんは不憫だなあ・・と。

小さい頃は、どうしても遊びに夢中になるあまりに?注意散漫になりがちですし、転んだりして小さなケガを負うことは珍しいことではないのに、なぜ?小学校だけでも?保健室を設置しないのか不思議です。

せめて?横になるスペースくらいの部屋や簡易ベッドくらい設置してもいいのに・・。
そう、あと、簡易救急箱くらいは・・。まあ、医者じゃないから医療行為は出来ないという理屈もわからなくはないですが・・。

学校側が、薬剤師さんを委託契約して常駐させたり出来るとなおいいんでしょうけど・・。

Kenちゃんのケガが大事に至らなくてホッとしましたが、なんだか、親御さんは気が気じゃないですね。

あって当たり前のもの

マダム・かおりんさん、こんにちは。

学校の保健室、って私たち日本人にとっては、あって当たり前のものですよね。でも、フランスには存在しないので、フランス人にとっては想像できないもの、なのかもしれません。でも、どこかの学校が試してみれば、便利!と普及したりして。

フランスって、一般家庭のリビングでくずかごをあまり見かけないんですよ。私の日本人の友人がくずかごを置いたら、フランス人のだんなさんが「これは便利だ!」って感心したそうです。

まあ、保健室とくずかごを同じレベルで語ってはよくないかもしれませんが。

え?

江草さん、こんばんは。

フランスのリビングには、「くずかご」がない?!

え?そしたら、みなさんどこに?ゴミを捨ててらっしゃるんでしょうか?もしかして?1箇所にまとめてあるとか?その定位置?まで毎回わざわざ目指して毎回捨てに行くのでしょうか??

そういや、フランス滞在中のホテルには、たいてい?洗面所にしかゴミ箱なかったかも??しれません・・。言われてみれば・・・確かに、そうです。

しかしながら?みんなが集まるリビングに、なぜ?ゴミ箱がないんでしょうか?不思議な気もしますが、フランス人の美的感覚的に??くつろぐ部屋にゴミ箱っていう発想はセンスに反するんでしょうか??

今度、フランス人の方に理由を聞く機会がありましたら、ぜひご教示下さい。
とても、興味があります・・。

私のフランス語学校の先生にも、ちょっと聞いてみますね。

追伸;16日にシャンゼリゼ通りが、農民一揆のごとく?朝から閉鎖されて混乱したようですね。さすが、革命の国です・・。
日本は、連休明けに台風直撃の影響で、東京近郊の交通網がストップして大変でしたけど。

美意識の違い

マダム・かおりんさん、こんにちは。

ごみ箱が目につくところにあるのは見苦しいと思っているようです。人を招待する時など、夫は「ごみ箱をどこかに片付けろ」と言いますし、義父母のところはリビングにごみ箱はなく、台所まで捨てに行きます。台所も流しの下、扉の裏に隠しておいてあるし。でも、結婚前の夫のアパートに遊びに行ったら、リビングのいすにスーパーのビニール袋をかけてそこに紙屑とか入れていました。その方が、見苦しいと思うのですけど。

農民たちの怒りは激しく、高速道路上でトラクターを連ねてのろのろ運転したりもしていました。国民の大半は、農民たちの味方、って様子です。中間搾取による物価高に怒りを感じていますね。

こんにちは。

江草さん、こんにちは。 しばらくご無沙汰して、すみません。
息子さん、痛かったでしょうね・・・よく我慢されましたね(涙)
その後、お怪我の具合はいかがですか?
目元なので、心配です・・・
フランスの学校に保健室がないとは、驚きました・・・
怪我をするケースも沢山あると思うのに・・・納得いかない私です・・
子供さんを学校に送っている親御さん達も、安心出来ませんよね・・・
フランス人の親御さん達は、保健室という物の存在自体、知らないんでしょうね・・?

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プロフィール

江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター・コーディネーター。
96年に渡仏し、99年から10年間パリ発日本語情報誌『Bisouビズ』の編集長を務め、同時に日本の雑誌やWebに情報記事、コラムなどを寄稿。
2010年に日仏バイリンガルサイト『BisouJaponビズ・ジャポン』を立ち上げ、ジャパン・エキスポなどパリで行われる見本市で、日本企業や日本人クリエーターの出展をプロデュース、展示会の企画コーディネートの仕事を始める。
2018年に22年間のパリ滞在にピリオドを打ち、日本に帰国。

『BisouFranceビズ・フランス』
https://www.bisoufrance.com/

個人ブログ『湘南二宮時々パリ』
http://ninomiyaparis.blog.fc2.com/

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