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アイスランド火山の影響

 フランスは今、復活祭のヴァカンス・シーズンで、パリ近郊の学校は17日から2週間の休みである。ところが、その少し前からフランスの国鉄が部分スト、そして、まさしく降って湧いたアイスランドの火山爆発の影響で空の交通も麻痺・・。空港閉鎖が始まった先々週木曜日のTVニュースでは、空港で「旅行会社からは何の連絡もなくて、ここまで着たら飛行機がないのよ!もうヴァカンスが台無し!」と怒るフランス人マダムや「ニュースを見ていなかったから火山の噴火なんて知らなかった」と、ためいきをつくムッシューなどの様子が。

 私の通う剣道クラブの講師の一人、サヴィネル先生も火山爆発のちょうど翌日から日本に旅行する予定であった。今年62歳、日本に行くのは初めてで、去年の秋から日本語を習い始め、この旅行のために日本語の名刺まで用意し、出発予定の数日前に「日本人宅に訪問する時、お土産は最初に渡した方がいい?それとも帰り際がいいかな?」と尋ねて来たので、「最初がいいですよ、それで相手の態度も変わるかも(笑)。お土産に何を用意したんですか?」と私が聞くと、「バカラのグラスだよ」。サヴィネル先生はバカラやクリストフルのグラスのデザインを手がけるプロダクト・デザイナーなのである。そんな素晴らしいお土産なら(エッフェル塔のキーホルダーなどと違って)、もらった人の態度も豹変(いい方向に)するかもしれない。
 ところが、というか案の定、出発予定の翌日の稽古にサヴィネル先生がやって来て、私の顔を見るなり、手で×じるしの合図を。仕方なく、「日本に行く前に日本語をブラッシュアップする時間が増えたじゃないですか」と、慰めの言葉をかけてあげる。

 しかし、旅行に出発できなかった人よりも深刻なのは、他国から自分の国に戻れなくなった人々である。まだ、フランス南部の空港が閉鎖していなかった時期になんとか、そこにたどり着いたものの、電車は満席(ストとヴァカンスシーズンのせいで)、パリまでタクシーで帰って来た人、とか北欧から電車とバスを乗り継ぎ40時間かけて戻ってきた来た人などなどの例がニュースで報道されていた。
 ただ、陸続きならまだ、時間とお金はかかっても、戻ってくる手段はある。3歳の子どもを預けて、1週間のニューヨーク滞在を楽しんだ後にフランスに戻れず途方にくれている若夫婦の例とか、ツアーでインドに行き、帰れなくなったフランス人一行などの例も取り上げられていた。・・・インドならまだ、滞在費が安いだろうが、日本をはじめ(義理母が日本にも5千人のフランス人旅行者が足止めをくってるのよ、とわざわざ知らせてくれた)、物価の高い国にとどまらざるを得ない人は、いつ戻れるか分からないまま、不安の中で過ごしたに違いない。
 こうなると、旅行先、時期をいつ、どこに決めたか、が運命の分かれ道である。まあ、人生なんてそんなものだけど。

 ところで、災難というものは、被害を受ける人がいる一方で、得をする人がいるのも確かで、例えば、ニュースでインタビューを受けていた英仏海峡を結ぶフェリー会社の社長は、ほくほく顔(を隠そうとはしていたが)だったし(ユーロ・スターもストで運行本数が減っていたので)、タクシーもいつにない長距離客で繁盛しただろう。
それから、この火山騒動の間、フランスは全国的にいい天気が続いていたのだが、シャルル・ドゴール空港近くの、飛行機の騒音がひどい地域の住民たちが庭にテーブルを持ち出して、「こんな静かな日々はここに住んでから始めて」(そりゃ、そうだろうな)、なんてのんびりおしゃべりしながら、食事を楽しんでいる様子なんかも報道されていた。実は私の住むコンフランもシャルル・ドゴール空港から発着する飛行機の通り道らしく、普段ははるか上空を飛んでいるので、あまり気にならないが、週末、特に土曜の朝は特別便が多いのか、けっこう高度の低いところ(調べたわけじゃないけど、音から判断して)を飛んでいて騒音が気になっていたが、確かに、それがなく、全く静かであった。
 
 最後に、こういう災難からは、学ぶことが少なからずあるのだが、今の時代、他国からの輸入、特に空輸に頼っているものもたくさんある、というものがよく分かった。私が今回、初めて知ったのはフランスで販売されている花の多くがケニアからの空輸に頼っているという事実。これって、経営努力および技術改良で、フランス国内で安く栽培できるようになれば、飛行機が飛ばなくなった時のリスク回避と雇用創出と温暖化防止にささやかながら、役立つのでは?あと、何か商品そのものに付加価値があるといいが、花はオーガニックにしてもあまりメリットがないし、・・それとも食用オーガニック・バラなんてどうかな?

ノルマンディの桜
(写真 我が家は国鉄も飛行機も関係なく、車で、ノルマンディの友人宅へ行き、庭の桜を見ながら、ランチ。その後、ブルターニュの義父母宅へ)



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お帰りなさいませ~。

江草さん、こんばんは。

アイスランドの噴火の影響は特に無く、復活祭バカンスを楽しめたようでなによりです。

日本も、輸入国ですが、母の日を前にアフリカ産七色のカーネーションとか、ドイツからの抗がん剤(製造してから60日しか消費期限がないので、空輸が常)などが届かないと、火山の影響が長引いた場合の打撃がニュースで紹介されていました。

足止めをくらった外国人のために、成田市や千葉市などが、ここぞとばかりに?無料で日帰り千葉観光バスツアーなどを催行して、かなり評判が良かったようです。

なるほど

マダム・かおりんさん、こんにちは。

薬などは確かに届かないと困りますよね。

無料ツアーって、観光先ではそれでも、ごはん食べたり、お土産買ったりでお金使ったのでしょうね。でも、空港にずっといるより、いいかも。

No title

江草さん、こんにちは~
空港が閉鎖になった時には、どうなる事かと心配しました・・
きっと、秘密で訳あり旅行してた?!人も、絶対にいたと思うので、その人達は大丈夫だったのかな~?なんて、余計な事考えてました。

江草さんも言っておられるように、これはこんな国から輸入していたのね!(空輸)等、初めて知って、驚いた事もありました。

でも、人って自然の脅威の前(火山噴火・地震等)には、成す術がないのだなと、痛感しました。

自然のなせるわざ

Melody021さん、こんにちは。
シャルルドゴール空港で、インタビューを受けていた日本人男性も、「自然のことだからしょうがない」と言っていました。フランス人たちは誰に対してとも知れず、ぶーぶー文句言っているのと対照的。日本人的な発想なのかもしれません。

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プロフィール

江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター・コーディネーター。
96年に渡仏し、99年から10年間パリ発日本語情報誌『Bisouビズ』の編集長を務め、同時に日本の雑誌やWebに情報記事、コラムなどを寄稿。
2010年に日仏バイリンガルサイト『BisouJaponビズ・ジャポン』を立ち上げ、ジャパン・エキスポなどパリで行われる見本市で、日本企業や日本人クリエーターの出展をプロデュース、展示会の企画コーディネートの仕事を始める。
2018年に22年間のパリ滞在にピリオドを打ち、日本に帰国。

『BisouFranceビズ・フランス』
https://www.bisoufrance.com/

個人ブログ『湘南二宮時々パリ』
http://ninomiyaparis.blog.fc2.com/

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