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発達障害児の親は、発達障害者?

岡田尊司著『アスペルガー症候群』(幻冬舎新書)を、興味深く読んでいる。息子がどうやら発達障害らしい、と分かってから、発達障害に関する本を何冊か読んだが、この東大哲学科中退、京大医学部卒の精神科医で医学博士である著者は、「アスペルガー症候群の遺伝形質は、強く集中し過ぎると障害となるが、ほどよくあるとむしろ非常に強みを発揮する才能や特性となる」と、障害を肯定的に捉えている。そして、エジソン、アインシュタイン、ビル・ゲイツ、スティーヴン・ジョブスなど、発達障害の可能性の高い著名人(いかにも、な顔ぶれ)を挙げ、親は彼らをどのように育てたか、という点にまで言及している。まあ、たいていは社会ルールを覚えさせながら、やりたいことをやらせた、というパターンだ。また、無名な人(って言い方も変だけど)で、この障害を乗り越えて就職や結婚をした人たちの例も紹介している。
障害があってもきちんと療育を受け、親を始め、周囲の人間が障害について理解し、社会スキルが身につくようサポートしていけば、社会で自立して生活できる、ということは定説であるが、この本は、一歩進んで(?)同症候群を発見したハンス・アスペルガーの、「感情生活や家庭生活においては苦労しがちだが、職業生活ではむしろ多くのケースで素晴らしい成功を収めている」という言葉を主調に、発達障害者、その家族をおおいに勇気づける(少なくとも私はたいへん勇気づけられました)ものなのだ。
 
以前も書いたが、息子が幼稚部にいた時は学校の心理士や市の心理センターの心理士たちに、息子の問題行動の原因は発達障害ではなく、無理な日仏バイリンガル教育によるものだ、とさんざん批難され、嫌な思いをした。小学生になった現在は、どうやら発達障害らしい、ということが分かり、息子は療育センターにも通っているが、相変わらず授業中は好き勝手なことをしているらしく、また、学童保育に迎えに行くと、いつも一人で遊んでいて、ハンドボール教室でも他の子どもたちから無視されたり、ボールをパスしてもらえない。そんな息子を見ると、悲しい気持ちになり、将来のことを考えると、憂鬱になった。

 しかし、この本を読んで、学校でまじめに勉強しても就職先がなかなか見つからない時代、障害の特性である特殊能力をいかして、息子は“職業生活で成功を収める”ことができるに違いない。めざせ!スティーヴン・ジョブス!最後に勝つのは我が息子じゃ!という気分になってきた。まあ、一方で、社会生活に必要な最低限のスキルを身につけるのは他の子どもたちの何倍もの努力が必要になるわけだが。

 さて、発達障害に関する本を何冊も読むうちに、「ひょっとして私も発達障害?」と思い当たることが多くなってきた。特に本書は、息子の療育に役立ちそうな部分に線を引いていたはずが、気がつくと「あ、これって、私?」と思えるようなところにも線を引くようになる。例えば
「アスペルガー症候群の人は顔や表情の認知が弱い」
・・確かに、私は人の顔がなかなか覚えられない。
「手書きの文字も、本人の他の能力に比べて、ひどく下手なことが多い」
まさに!ワープロソフトがなければ、物書きにはなれなかったと断言できるほどの悪筆だし。
「動きがどことなくぎこちなく(中略)体育では、走るのは早いが球技が苦手」
そうそう!高校までいつもリレーの選手に選ばれていて、球技はまあまあだったけど、ダンスとか体操類はどヘタだったのだ!
「仕事や雑用を、テキパキと処理するのが苦手だ。ぎりぎりまで放っておいて、期限が近づいてから慌てて取りかかるということが多い」
確かに、締め切りが近付かないと、原稿も書かないし・・。

しかし、まてよ、「感情生活や家庭生活においては苦労しがちだが、職業生活ではむしろ多くのケースで素晴らしい成功を収めている」という救いのポイントが自分には当てはまらない。感情・家庭生活に苦労し、職業生活もうまくいっていない、私って・・??

まあ、今更、自分が実はアスペルガー症候群だということが分かっても、それで生活が大きく変わるとも思えない。せめて、息子に二の舞を踏ませないよう、気をつけることだ。








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完璧な人間なんていないのでは?

江草さん、こんばんは。

完璧な人間なんて、たぶん?いないと思いますし、
みんな多少の?欠陥部分ってあると思います。

ただ、それが社会生活する上で支障があるかどうかの
程度問題はあるでしょうけど、いわゆる?癖も自分では気づかずとも、第三者から見れば?理解に苦しむ・・・けれども、特に社会生活で問題はないなんていう場合もあるかと思いますし・・・。

あまり、気にしなくてもいいと思いますよ。

人生一度きりですし、自分らしく楽しく生きられればいいと
思います。

現実問題、なかなかそうはいかないことが多いですから、
少しでも楽しく生きたいと、私自身は思います。

独り立ちしてくれれば

マダム・かおりんさん、こんにちは。

とにかく息子が独り立ちしてくれれば、って思っています。
つまり、仕事を見つけて、自分で稼いで生活ができるようになれば、と。
でも、今の時代、大学出ても就職先が見つからなかったり、と健常者でも独り立ちが難しいのですよね・・。

No title

江草さん、こんにちは。

実は私は、福祉関係の専門学校に通う事になりまして、先日授業で「障害とは何か?」というテーマで、議論をしました。
まだ勉強し始めたばかりで、ちゃんと理解していない状況なのですが、まわりが勝手に、障害と決めつけてしまっているだけだとか、障害は個性であるとか、そういう意見も出ていました。
今は、”障害”という漢字を使わないで、”しょうがい”と、ひらがなで表記したりする動きがあるみたいです。

息子さんの将来を考えると、とても心配になりますよね・・・
私の母の友人の息子さんも、確か?、そうだと聞いた事があります。
お父さんがお亡くなっているので、お母さんが一人で働いて、家計を支えていますが、いつも仕事中に、学校に呼び出されて、大変ご苦労をされたと聞いております。
でも今は、料理が得意で、料理学校に通って勉強し、立派な料理人になり、頑張っています。
素晴らしい才能を、発揮しておられます!

私も含め、まわりの人達も、もっと障害の事を理解して下さるような社会に、なればいいなと、そう思っています。
いずれ私も、そういう方達の為にも、力になれるように、頑張りたいと思っています。

息子さんも、自分の道を見つけられて、素晴らしい才能を発揮されますように、願っております!!!

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プロフィール

江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター・コーディネーター。
96年に渡仏し、99年から10年間パリ発日本語情報誌『Bisouビズ』の編集長を務め、同時に日本の雑誌やWebに情報記事、コラムなどを寄稿。
2010年に日仏バイリンガルサイト『BisouJaponビズ・ジャポン』を立ち上げ、ジャパン・エキスポなどパリで行われる見本市で、日本企業や日本人クリエーターの出展をプロデュース、展示会の企画コーディネートの仕事を始める。
2018年に22年間のパリ滞在にピリオドを打ち、日本に帰国。

『BisouFranceビズ・フランス』
https://www.bisoufrance.com/

個人ブログ『湘南二宮時々パリ』
http://ninomiyaparis.blog.fc2.com/

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