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朝霧の中、パリを走る

先週の金曜夜に、在仏日本雑誌記者会の食事会に参加した。
在仏45年、パリ在住日本人画家の中で最も著名であろう、赤木 曠児郎先生が運営されている組織で、私のようなフリーライターだけではなく、新聞社や出版社のパリ特派員の方も登録していて、個性的な面々が多く、年齢層も80代~30代と幅広い。
メンバーが集まる機会は滅多になく、今回、13区のベルシー地区に位置する元フランス国鉄の冷凍倉庫で、現芸術家村の大きな建物の一角にあるレストランで、久しぶりの食事会が開かれたのだ。

案内状に19時―22時、とあったので、13区とはちょうど反対側のパリの北西郊外に住む私は車で出掛けることにする。夜、郊外電車に一人で乗るのはなんとなく気が進まない、ごくたまに暴力事件もあるし。

さて、金曜の夕方、パリまでの高速は車も少なく、すいすいと進んだのだが、環状線に入ったとたん、大渋滞に巻き込まれる。郊外暮らしも3年目を迎え、つくづく引っ越したことを後悔する今日この頃、「パリに住んでいれば、地下鉄であっと言う間で、こんな苦労をしなくて済んだのに」とクラッチを踏みながら(マニュアル車なので)、独りごちる・・。

目的地に着くも、駐車する場所を探すのに苦労し、店に入れたのは20時半近く。さて、会場は、在仏画家小泉摩理子さんが経営し、食事も作る日本食レストランだ。記者会のための特別メニュは、焼き魚、煮物、春巻き、実だくさんのお味噌汁、ちらしずしと日本のおふくろの味でおいしかった!遅れてきたにもかかわらず、ちゃんと前菜から全ていただき、食後の手作りチョコレートケーキも甘さ加減がちょうどいい、個性的なメンバーたちとの雑談も楽しく、渋滞疲れもふっとんだ。

各テーブルをワインボトル片手に回る赤木先生(気配りの人です)から「飲まないの?」と聞かれ、「車なんです」と答えると、10年来の友人でノルマンディからわざわざ来たT子さんが、「よかったら私のホテルに泊まらない?」。というのは彼女、一緒に住んでいるカメラマンの彼と参加の予定で、会場近くにホテルを予約したのだが、急に彼が来られなくなったのだ。「彼が由香さんに代わりに泊ってもらったら、って言ってたんだけど、ほら、家族もいるし、外泊なんて難しいかな、と思ってさ」。「なんでもっと早く言ってくれないのよ!だったら、電車で来れたのにぃ」、とずーずーしく文句をつけながらも、お言葉に甘えることにして、夫に電話をする。夜の運転は危険だし、明日の朝なら道路もすいてるし」と夫を説得し(別に反対もしなかったが)、閉会まぎわにワインをぐびぐび飲む。

普段の生活では縁のない3つ星ホテルに泊めてもらい、「寝巻きや歯ブラシは置いてないの?スリッパは?」とあちこちを見まわしていると、「フランスのホテルはそんなものつかないわよ。4つ星だとバスローブくらい置いてあるけど」とT子さん。一つ星かせいぜい2つ星にしか泊まったことがない私は、高いホテルなら日本同様、色々なサービスがあると信じていたのだ。一つ勉強になった。

朝、7時45分、サン・ラザール駅発の電車に乗ってノルマンディに帰る、というT子さんと、ホテルを朝7時に出ると、外は真っ暗な上に霧がかかっていた・・、夜中に運転するよりもっと怖いかも・・。「セーヌ岸沿いの道をずーっと通って、パリを突っ切って行けば?そこからコンフラン方面の高速に乗れるよ」と実はT子さんは以前はエッフェル塔のそばに住んでいて、その時から車を運転していた人なので、パリの道路事情に詳しい。T子さんはそのまま地下鉄駅に向かい、私は一人、「なるほど、環状線なんぞに乗っかるより、朝霧にむせぶノートルダム寺院を見ながらドライブ、なんてのもおしゃれだな、確か食事会の案内状に載っていた地図によるとセーヌ川がすぐ近くに流れていたはず」とそれを見ながら、車を進めるも、暗くて、しかも初めて来る地域なので、セーヌがどこにあるかさっぱり分からない。やがて、道幅はやたらと広いのに、車が一台も通っていない通りに出て、だんだん不安になり、引き返そうかと思っていたら、左前方にこの時間に明かりがついた大きな建物が・・。オーステルリッツ駅である!駅の前でやっとセーヌ岸沿いの道にたどりつき、いよいよパリを横断だ。 
ノートルダム寺院の前を通った時は暗くて輪郭しか見えず。サン・ミシェル広場のカフェはこんな時間に人がたくさん入っていた。朝食を取りに来た観光客か?エッフェル塔脇を通り過ぎた頃から空が白み始め、高速に乗り、パリ郊外サンクルーの街を見ながら、セーヌを超えた時にようやく空が明るくなった。
これじゃ、昨日の夜中に帰ってもあまり変わらなかったなぁ、と思いつつ、サンジェルマン・アン・レイのパン屋で朝食用のクロワッサンとパン・オ・ショコラを買い、「フランス人っぽいじゃん」といい気分になる。
サンジェルマンの森も朝霧が深く、事故っちゃ、たいへん!とスピードを落とす。車がほとんど通っていないので、ちんたら走っていても、クラクションを鳴らされなくて済んだ。

結局、家には朝8時着。朝帰りなんて何年ぶりだ?映像プロダクションにいた時以来(つまり、仕事ゆえの朝帰りです)。

郊外に引っ越していいことなんかなかったなぁ、なんて思ったりもするが、運転ができるようになったのは、とってもいいことだ。パリ(というか正確にはブーローニュだが)にいたら、いまだペーパードライバーだったに違いない。



『アカギの版画パリ百景』赤木先生の新刊。物書きとしても活躍されている先生の、観光ガイドには載っていないパリ案内の文章に先生の画が添えられている。画に文が添えられているのか?
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お疲れ様です。

江草さん、御元気ですか?

いつも某サイトで、江草さんのブログを楽しく拝見させて頂いて
いましたが、昨年10月の金融不況で閉鎖される事実をだいぶ
経ってから知ったので、ショックでしたが、こちらのサイトでまた
充実したブログを拝見出来てうれしいです。
今後も、楽しみにしています!

今回の記事で、この時期の朝7時パリの暗さや閑散とした雰囲気を
知っている私は、思わずうなずいてしまいました。
(パリに旅行した際に、地方へのオプショナルツアーの集合時刻がたいてい?朝7時頃だったので、閑散とした地下鉄構内や昼とは違う?ライトアップのない暗い街並みをタクシーの車窓から見たことが
ありますが、ホントに、セーヌ川は真っ暗ですからね・・。)

でも、最近は行く度に、パリ郊外まで足を延ばす機会も多く、
パリとは違った趣もあるので、もし、住むなら郊外もいいかも?
と思うくらいです。
確かに、パリ市内は便利ですが常に緊張感を伴うので非常に
疲れる気がします。

ホテルも、これまでいろんなところに宿泊しましたが、日本のように歯ブラシや寝巻きやスリッパがあったホテルはなかったですよ。
でも、ガイドブック等にそのあたりの注意事項は記載されているので、最近の日本人観光客は、そういう日本では当たり前のサービスは期待せず、しっかり持参する人が多いみたいです。
特に、折りたたみ傘なども日本の¥100ショップで購入できるのとは訳が違うので、みなさん、しっかり持参されていらっしゃいます。

多くの日本人がフランスに観光旅行に行き感じることは、24時間営業のコンビニやお店、日用雑貨がオール¥100で購入できる¥100ショップ、ユニクロなどの高品質低価格の(フランスでは高いかも?ですが。)洋服屋などがある日本が、いかに?便利かを身にしみて感じるみたいです。

今、通っているフランス語学校の先生も、(この先生は、サヴォワ出身)日本に来て、安くて早くてうまいと3拍子そろった立ち食いそば屋やラーメン屋、吉野屋や松屋などの定食屋がとてもお気に入りで、この時期は特にセブン・イレブンのおでんがいいと大絶賛してました。
フランスにもあるといいのに・・・と申しておりましたが、日本人の奥さんと結婚されたこともあり、フランスよりも日本の暮らしの方が断然快適だとも申しておりました・・。

住めば都?って、こういうことを言うのですかね??

No title

マダム・かおりんさん

お久しぶりです、ていねいなコメント、ありがとうございます。

前のブログはギャラをいただいて書いていたものなので、ちゃんと締切も守りましたが、今度は自己責任ブログなので、ものぐさの私がどこまで定期的にUPできるのか・・。

でも、前のブログでよくコメントをちょうだいしていた方たちが、こちらのブログも読んでくださっている!ということが分かって、とても励みになります。

ほんと、フランスに比べて日本のサービスのよさとモノの質の高さと言ったら・・。うちの夫も日本旅行から帰った後はよく「あんな店員日本ならくびだ!」とか「こんなもの日本なら100円で手に入るのに」と文句を言っていますよ。

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プロフィール

江草由香

Author:江草由香
編集者・ライター・コーディネーター。
96年に渡仏し、99年から10年間パリ発日本語情報誌『Bisouビズ』の編集長を務め、同時に日本の雑誌やWebに情報記事、コラムなどを寄稿。
2010年に日仏バイリンガルサイト『BisouJaponビズ・ジャポン』を立ち上げ、ジャパン・エキスポなどパリで行われる見本市で、日本企業や日本人クリエーターの出展をプロデュース、展示会の企画コーディネートの仕事を始める。
2018年に22年間のパリ滞在にピリオドを打ち、日本に帰国。

『BisouFranceビズ・フランス』
https://www.bisoufrance.com/

個人ブログ『湘南二宮時々パリ』
http://ninomiyaparis.blog.fc2.com/

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